部隊を構成する自衛官個々の能力を高めることは、部隊の任務遂行に不可欠である。このため、各自衛隊の教育部隊や学校などで、階級や職務に応じて段階的かつ体系的な教育を行い、必要な資質を養うと同時に、知識・技能を修得させている。
教育には、特殊な技能を持つ教官の確保、装備品や教育施設の整備など、非常に大きな人的・時間的・経済的努力が必要である。また、専門の知識・技能をさらに高める必要がある場合や、自衛隊内で修得することが困難な場合などには、海外を含む部外教育機関、国内企業、研究所などに教育を委託している。
各自衛隊の部隊などで行う訓練は、隊員それぞれの職務に必要な技量の向上を目的とした隊員個々の訓練と、部隊の組織的な能力の練成を目的とした部隊の訓練とに大別される。隊員個々の訓練は、職種などの専門性や隊員の能力に応じて個別的、段階的に行われる。部隊の訓練は、小部隊から大部隊へと訓練を積み重ねながら、部隊間での連携などの大規模な総合訓練も行っている。
また、わが国の防衛のための訓練に加え、国際平和協力活動や大規模災害への対応など、近年の自衛隊の任務の多様化に対応した訓練の充実にも努めている。さらに、統合運用及び各種事態への対応の強化を図るため、統合訓練や各自衛隊による二国間、多国間の共同訓練の拡大も図っている6。
自衛隊の訓練は、可能な限り実戦に近い環境で行うよう努めているが、制約も多い。このため、防衛大綱などで示された北海道の訓練環境の一層の活用を含め、限られた国内演習場などを最大限に活用している。また、国内では得られない訓練環境を確保できる米国やその周辺海空域で共同訓練などを行い、実戦的訓練を行うよう努めている。
参照資料20(各自衛隊の米国派遣による射撃訓練などの実績(平成27年度))
訓練に励む陸・海・空自の新入隊員
国民の生命や財産に被害を与えたり、隊員の生命を失うことなどにつながる各種の事故は、絶対に避けなければならない。このため、防衛省・自衛隊は、日頃の訓練にあたって安全確保に最大限留意するなど、平素から安全管理に一丸となって取り組んでいる。