歳出予算で見た防衛関係費は、人件・糧食費と歳出化経費という義務的な経費が全体の8割を占めている。また、活動経費である一般物件費は全体の2割程度であるが、そのうち基地周辺対策経費など義務的な経費は4割以上を占めている。このように、防衛関係費は、単年度でその内訳を大きく変更することは困難な構造となっている。
参照図表III-1-3-2(歳出額と新規後年度負担の関係)
人件・糧食費は、平成26年度人事院勧告による給与改定などにともない、前年度から192億円の増額、歳出化経費は、前年度から8億円の増額、一般物件費は、前年度から184億円の増額となっている1。
参照図表III-1-3-3(防衛関係費(当初予算)の内訳(平成27年度))
また、歳出予算とは別に、翌年度以降の支払を示すものとして新規後年度負担額がある。防衛力整備においては、艦船・航空機などの主要な装備品の調達や格納庫・隊舎などの建設のように、契約から納入、完成までに複数年度を要するものが多い。しかし、わが国の予算は毎会計年度国会の議決を経なければならないため、原則として予算により認められた国費の支出は当該年度に限られる。そのため、契約から納入、完成までに複数年度を要するものについては、複数年度に及ぶ契約を行い、将来(原則5年以内)の一定時期に支払うことを契約時にあらかじめ約束するという手法をとっている。このような複数年度に及ぶ契約に基づき、契約の翌年度以降に支払う金額を後年度負担額という。平成27年度に新たに負担することとなった後年度負担額(新規後年度負担額)は、5年を超える長期契約による一括調達の導入の影響もあり、前年度から3,534億円(18.2%)の増額となっている。
さらに、事業規模を示す契約ベース2で見た場合、前年度から3,718億円(12.7%)の増額となっている。