防衛力が最大限効果的に機能するには、これを下支えする以下のような基盤もあわせて強化することが必要不可欠である。
北海道の良好な訓練環境を一層活用するとともに、関係機関や民間部門とも連携し、訓練・演習の充実・強化に努める。また、南西地域において、地元との関係に留意しつつ、米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進める。
部隊などが迅速に展開し、各種事態に効果的に対応し得るよう、駐屯地・基地などの復旧能力を含む抗たん性を高める。また、各自衛隊の施設や宿舎の整備を進め、即応性を確保する。
民間空港・港湾についても、事態に応じて早期に運用基盤として使用し得るよう検討する。さらに、任務に従事する隊員や留守家族の不安を軽減するよう、各種家族支援施策を実施する。
加えて、必要な弾薬の確保・備蓄、装備品の維持整備を図る。
各自衛隊の任務や特性を踏まえつつ、適正な階級構成および年齢構成を確保するための施策を実施する。
女性自衛官のさらなる活用や再任用を含む人材を有効に活用するための施策および栄典・礼遇に関する施策を推進する。また、統合運用体制を強化するため、教育・訓練の充実などを通じ、各種事態などに柔軟に即応できる人材を確保する。
多様な募集施策を推進し、さらに、地方公共団体や関係機関との連携強化などにより再就職支援を推進する。また、持続的な部隊運用を支えるため、幅広い分野で予備自衛官の活用を進めるとともに、予備自衛官などの充足向上などのための施策を実施する。
自衛隊病院の拠点化・高機能化などを進め、防衛医科大学校病院などの運営改善を含め効率的かつ質の高い医療体制を確立する。また、医官・看護師・救急救命士などの確保・育成を一層重視する。さらに、第一線の救護能力の向上や迅速な後送態勢の整備を図る。
わが国の防衛生産・技術基盤全体の将来ビジョンを示す戦略を策定するとともに、装備品の民間転用などを推進する8。
また、武器などの海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定める9。
装備品の効率的・効果的な取得のため、プロジェクト・マネージャーの仕組みを制度化し、技術的視点も含め、ライフサイクルを通じたプロジェクト管理を強化する。また、さらなる長期契約の導入の可否などを検討する。
民間能力の有効活用などによる補給態勢の改革により、即応性・対処能力の向上を目指すとともに、取得プロセスの透明化および契約制度の適正化を不断に追求する。
厳しい財政事情のもと、自衛隊の運用にかかるニーズを踏まえ、研究開発と防衛力整備上の優先順位との整合性を確保する。
新たな脅威に対応し、戦略的に重要な分野において技術的優位性を確保し得るよう、中長期的な視点に基づく研究開発を推進する。
大学・研究機関との連携の充実などにより、デュアルユース技術の積極的な活用に努める。
防衛施設周辺対策事業を引き続き推進するとともに、平素から地方公共団体や地元住民に対し積極的な広報などを行う。
部隊の改編などにあたっては、地域の特性に配慮する。同時に、駐屯地などの運営にあたっては、地元経済への寄与に配慮する。
戦略的な広報活動を強化し、多様な情報媒体を活用する。
教育機関などにおける安全保障教育の推進に取り組む。また、防衛研究所を中心とする研究体制の強化とともに、他の研究機関との各種連携を推進する。
文官と自衛官の一体感の醸成、防衛力整備の全体最適化、統合運用機能の強化、政策立案・情報発信機能の強化などの実現のため、改革を推進する。