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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

第5節 オーストラリア

1 全般

オーストラリアは、自由と人権の尊重、民主主義といった普遍的な価値をわが国と共有し、日本や韓国と同様、米国と同盟関係にある。オーストラリアは、インド洋から東南アジアを経て太平洋に至るインド洋・太平洋地域と同地域における安全保障の枠組みの発展が同国の戦略環境に大きな影響を与えるという認識のもと、同地域を戦略的焦点として優先するとしている。

オーストラリアでは、13(平成25)年9月に連邦議会選挙が行われ、下院を制した保守連合のアボット自由党党首が首相に就任し、政権が労働党から保守連合へと交代した1。アボット政権の安全保障・国防政策は、これまでの豪政権の政策と大きな違いはないとみられるが、予算面においては前政権による国防費の削減を非難し、より強じんな国防力の建設に向けて必要とみなす投資は積極的に行う姿勢を示している。また、対外関係においては、引き続きインド洋・太平洋地域の国々との関係強化を図っているほか、海外への豪軍派遣などを通じて積極的に国際社会の平和と安定に向けた貢献を行っている。

1 同選挙では、下院において、自由党や国民党などからなる保守連合が、150議席中90議席を獲得した。この結果、下院で過半数を占めた保守連合構成政党のうち、最も多い議席を持つ自由党のトニー・アボット党首が、オーストラリアの第28代首相に就任した。