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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

3 防衛装備移転三原則の内容

1 移転を禁止する場合の明確化(第一原則)

移転を禁止する場合を①わが国が締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、②国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合および③紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和および安全を維持または回復するため、国連安全保障理事会がとっている措置の対象国をいう。)への移転となる場合とに明確化した。

参照図表IV-1-3-1(第一原則「移転を禁止する場合」の具体的事例)

図表IV-1-3-1 第一原則「移転を禁止する場合」の具体的事例

2 移転を認め得る場合の限定ならびに厳格審査および情報公開(第二原則)

移転を認め得る場合を①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合および②わが国の安全保障に資する場合などに限定した。また、移転先の適切性や安全保障上の懸念などを個別に厳格に審査するとともに、審査基準や手続きなどについても、明確化・透明化を図り、国家安全保障会議での審議を含め、政府全体として厳格な審査体制を構築することとした。

参照図表IV-1-3-2(第二原則「移転を認め得る場合の限定」の具体的事例)

図表IV-1-3-2 第二原則「移転を認め得る場合の限定」の具体的事例

3 目的外使用および第三国移転にかかる適正管理の確保(第三原則)

防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定するとして、具体的には、原則として目的外使用および第三国移転についてわが国の事前同意を相手国政府に義務付けることとした。ただし、平和貢献・国際協力の積極的な推進のため適切と判断される場合、部品などを融通し合う国際的なシステムに参加する場合、部品などをライセンス元に納入する場合などにおいては、仕向先の管理体制の確認をもって適正な管理を確保することも可能とした。

防衛省では、これまでも諸外国との防衛装備・技術協力を進めてきたところであるが、今後は新たな原則のもとでより一層の透明性を確保するとともに、相手国および防衛産業の予見可能性を高めつつ、わが国の防衛に重要な防衛技術はしっかりと保全したうえで、関係省庁とも連携しながら責任ある防衛装備の移転の管理を行っていくとともに、これまで以上に平和貢献・国際協力に寄与していく。