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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

第4節 研究開発

1 装備品の研究開発にかかる取組

財政的、人的な資源が限られる中、先進的な研究を中長期的な視点に基づいて体系的に行うため、新たな脅威に対応し、安全保障上戦略的に重要な分野において技術的優位性を確保できるよう、最新の科学技術動向、戦闘様相の変化、国際共同研究開発の可能性、主要装備品相互の効果的な統合運用の可能性などを勘案し、主要な装備品ごとに中長期的な研究開発の方向性を定める将来装備ビジョンを策定し、効果的に人的、財政的資源を投入する。

近年、防衛技術と民生技術との間でデュアルユース化、ボーダーレス化が進展している中、産学官の力を集結させて、安全保障分野において有効に活用し得るよう、科学技術に関する動向を平素から把握し、独立行政法人や大学などの研究機関との連携の充実を促進することで、防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用(スピンオン)に努めるとともに、民生分野への防衛技術の展開(スピンオフ)も図り、防衛技術と民生技術の相乗効果による技術の進展を促す。また、先進諸国においては、防衛装備品の高性能化を実現しつつ、費用の高騰に対応するため、国際共同開発などに参加することが主流となっていることから、わが国としても国際共同開発などへの参加も念頭に置きつつ、防衛装備移転三原則のもとで、装備・技術分野における諸外国との協力を進めていく。産学官連携の強化、国際的な装備・技術協力の推進に際しては、防衛技術、デュアルユース技術の機微性・戦略性を適切に評価し、わが国の安全保障上の観点などから意図しない武器転用のリスクを回避するなど、技術管理機能の強化を図る。

なお、厳しい財政事情のもと、自衛隊の運用にかかるニーズに合致した研究開発を優先的に実施するため、研究開発の開始にあたっては、引き続き、費用対効果を踏まえつつ、防衛力整備上の優先順位との整合性を確保していく。また、装備品などのライフサイクルを通じた性能、スケジュール、コストの最適化を図る観点から、構想・研究および開発段階から、性能・コストなどの面での複数の提案の比較・分析を徹底するとともに、さらに、装備品の量産単価の上昇を招かないように、開発時から技術研究本部と装備施設本部が、コストの見積もりについて連携する仕組みを、ライフサイクル管理の一部として行っていく。