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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

2 防衛装備移転三原則の策定趣旨

一方、F-35の製造などにかかる国際的な後方支援システムへの国内企業の参画を図ろうとした際、また、13(平成25)年12月、国連などの要請に基づき、南スーダンPKO(国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS))において活動中の陸自部隊が保有する弾薬1万発を国連に提供した際は、同基準を適用することができなかったため、内閣官房長官談話を発出して武器輸出三原則等によらないとする措置をとることとなった。

13(同25)年12月に定められた「国家安全保障戦略」において、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から、防衛装備品の活用などによる平和貢献・国際協力に一層積極的に関与するとともに、防衛装備品などの共同開発・生産などに参画することが求められている状況などを踏まえ、防衛装備品の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとされた。

これに基づき、政府は14(同26)年4月1日、「防衛装備移転三原則」1を閣議決定するとともに、その運用指針についても国家安全保障会議で決定した。これらは、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割に十分配意したうえで、これまで積み重ねてきた例外化の経緯を踏まえ、これを包括的に整理し、防衛装備の移転にかかる具体的な基準や手続き、歯止めを今まで以上に明確化し、内外に透明性をもった形で明らかにするものである。

防衛省・自衛隊としては、防衛装備移転三原則のもとで、これまで以上に平和貢献・国際協力に寄与していくとともに、同盟国たる米国およびそれ以外の諸国との防衛装備・技術協力をより積極的に進めていくことを通じ、地域の平和と安定を維持し、わが国を守り抜くための必要な諸施策を、より一層積極的に推進していく。

参照資料63(防衛装備移転三原則)

1 「防衛装備移転三原則」の名称は、たとえば、自衛隊が携行するブルドーザなどの被災国などへの供与にみられるように、移転の対象となり得るものが、平和貢献・国際協力にも資するものであることなどから「防衛装備」の文言が適当であり、また、貨物の移転に加えて技術の提供が含まれることから「輸出」ではなく「移転」としたものである。