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第III部 わが国の防衛のための取組

5 最近行われた日米会談

1 日米防衛相会談(14(平成26)年5月31日)

14(平成26)年4月6日の日米防衛相会談に引き続き、小野寺防衛大臣とヘーゲル米国防長官は、IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に際して日米防衛相会談を実施した。

(1)地域情勢

両閣僚は、アジア太平洋地域における安全保障環境について意見交換した。小野寺防衛大臣から、14(同26)年5月の中国軍戦闘機による自衛隊機への異常な接近について、偶発的事故につながりかねない危険な行為であり、誠に遺憾である旨発言した。両閣僚は、東シナ海を含めいかなる地域においても力による現状変更の試みに反対することで一致した。両閣僚は、地域の平和と安定のため、引き続き、日米間で緊密に連携していくことを確認した。この点に関して、小野寺防衛大臣から、同月に開始された米空軍グローバル・ホークの三沢飛行場への一時展開や、2 基目のTPY-2 レーダーの日本への追加配備は、わが国の安全および地域の平和と安定にも寄与するものであり、歓迎したい旨述べた。両閣僚は、東南アジア諸国との協力を引き続き強化させていくことで一致した。

参照I部1章3節2項5(海洋における活動)

(2)日本の安全保障政策

小野寺防衛大臣から、同月15日に提出された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書を受け、政府としては、安倍内閣総理大臣が示した検討の進め方についての基本的方向性に基づき、国内で議論が開始されている旨発言した。ヘーゲル米国防長官から、日本のこうした取組を歓迎し、支持するとの発言があった。

参照II部1章3節(新たな安全保障法制の整備のための基本方針)

(3)日米防衛協力

両閣僚は、13(同25)年10 月の日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表において14(同26)年末までに完了するとされている現指針の見直しの作業を引き続き推進していくとともに、幅広い日米間の防衛協力を着実に進めることを通じて、日米同盟の抑止力および対処力を強化していくことで一致した。

(4)在日米軍再編など

両閣僚は、普天間飛行場代替施設の建設工事など、在日米軍の再編を早期かつ着実に進めることで一致した。特に、沖縄の負担軽減に関して、小野寺防衛大臣から、沖縄県の要望については、できることは全て行うとの姿勢で臨んでいる旨改めて説明した。両閣僚は、日米防衛協力の強化にもつながるMV-22 オスプレイの沖縄県外における訓練の増加の実現など、日米双方が引き続き緊密に連携して沖縄の負担軽減にかかる具体的な協力を進展させていくことを確認した。

小野寺防衛大臣とヘーゲル米国防長官の画像

握手を交わす小野寺防衛大臣とヘーゲル米国防長官(14(平成26)年5月31日)

2 日米首脳会談(14(平成26)年4月24日)

安倍内閣総理大臣は国賓として訪日中のオバマ米大統領との間で日米首脳会談を行い、日米関係、地域情勢、グローバルな課題などについて意見交換を行った。

この中で、安全保障について、安倍内閣総理大臣から、先般「防衛装備移転三原則」を策定したことを説明した。また、集団的自衛権と憲法との関係の検討について、今後有識者報告書が提出される見込みであり、その後政府見解を示したいと述べた。これに対しオバマ米大統領から、日本のこうした取組について歓迎と支持が示された。さらに、両首脳は、14(同26)年末までの「日米防衛協力のための指針」見直しをはじめ、幅広い安保・防衛協力を進めることを確認した。

参照II部1章3節(新たな安全保障法制の整備のための基本方針)

また、米軍再編について、安倍内閣総理大臣から、グアム協定改正議定書が国会で承認されたことを説明し、在沖縄海兵隊のグアム移転を着実に進めたいと述べた。さらに、普天間飛行場移設に関し、安倍内閣総理大臣から、①普天間飛行場の移設は強い意志をもって工事を早期かつ着実に進める、②同飛行場の5年以内の運用停止を含む沖縄県知事からの要望には、わが国としてできることは全て行うとの姿勢で対応する考えであるので、米国と十分に意思疎通しつつ検討を進めていきたい、③日本政府としては、まずはMV-22オスプレイの沖縄県外における訓練の増加に向けた取組を行っており、これを進めていくうえでは米側の協力が不可欠である旨述べた。加えて、安倍内閣総理大臣から、日米地位協定の環境補足協定について、成熟した同盟関係にふさわしい充実した内容にする必要があり、米側の協力をお願いしたい旨述べた。これに対しオバマ米大統領から、在日米軍の円滑な運用を図りつつ、沖縄の負担軽減に引き続き取り組みたい旨述べた。

さらに、アジア太平洋地域情勢について、両首脳は、日米を中核とし、関係諸国とも協力しつつ自由で開かれたアジア太平洋を維持し、そこに中国を関与させていくことが重要であるとの点で一致した。そのために両者は、日米同盟の強化および米国のリバランス政策の継続をしっかりと示していくことが重要であることを確認した。北朝鮮について、安倍内閣総理大臣から、北朝鮮の核開発を止めさせるために引き続き圧力を加えるべきである旨述べ、両首脳は、日米韓で引き続き緊密に連携していくことを確認した。日韓関係について、安倍内閣総理大臣から、良好な日韓関係はアジア太平洋地域の平和と安定にとり不可欠であり、今後も大局的見地から韓国と様々なレベルで意思疎通を図り、未来志向の協力関係の構築に向け努力していく旨述べた。安倍内閣総理大臣から、中国の力による現状変更の試みの継続について、尖閣諸島に関してわが国は引き続き冷静かつ毅然として対処しており、南シナ海も含む中国のこうした試みに対しては、明確に反対を表明し、強固な日米同盟と米国のアジアへの強いコミットメントを示すことが重要である旨述べた。オバマ米大統領からは、日本の施政下にある領域は日米安保条約第5条の適用対象であり、尖閣諸島もそれに含まれる旨述べた。また、米国は尖閣諸島に対する施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対するとの考えを確認した。両首脳は、対中政策に関して、今後とも日米の様々なレベルで緊密に意見交換を行い、連携を維持していくことを確認した。また、安倍内閣総理大臣から、日米同盟を軸に、日米韓、日米豪、日米印の三か国協力を推進したい旨述べた。

日米首脳会談の画像

14(平成26)年4月24日に行われた日米首脳会談の様子【内閣広報室】