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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

5 地域内の協力

15(平成27)年までの共同体設立を目指すASEAN各国は、地域の多国間安全保障の枠組みとしてもASEANの活用を図っている。安全保障問題に関する対話の場であるASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)やASEAN国防相会議(ADMM:ASEAN Defence Ministers' Meeting)などを開催しているほか、11(同23)年7月には、ASEAN初の軍事演習であるASEAN軍事人道支援・災害救助机上演習(AHR:ASEAN Militaries’ Humanitarian Assistance and Disaster Relief Table-Top Exercise)を行うなど、地域の安全保障環境の向上や信頼醸成に努めている。

ASEANは域外国との関係拡大も重視しており、10(同22)年、ADMMにわが国を含む域外8か国を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)30が発足し、13(同25)年8月に第2回会議がブルネイで開催された。このほか、同年6月に初の実動演習であるADMMプラス人道支援・災害救援/防衛医学演習を、同年9月には初の対テロ演習および海上安全保障実動訓練を実施した。11(同23)年11月には、ASEANおよび域外6か国からなる東アジア首脳会議(EAS:East Asia Summit)に、新たに米国およびロシアが正式に参加した。

東南アジア地域においては、テロや海賊のような国境を越える問題など安全保障上の幅広い問題に対応するため、ASEAN以外の枠組みにおいても多国間の協力が進展している。海賊対策としては、インドネシア、マレーシア、シンガポールおよびタイによる「マラッカ海峡パトロール(Malacca Strait Patrols)」が行われているほか、「アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP:Regional Cooperation Agreement on Combating Piracy and Armed Robbery against Ships in Asia)31」に基づき、海賊に関する情報共有および協力体制の構築を進めている。

30 ADMMプラスの枠組みのほか、米国・ASEANおよび中国・ASEAN間で、国防相会談が行われており、14(平成26)年4月には、米ASEAN国防相会談が初めて米国において開催された。

31 14(平成26)年6月現在、同協定の締約国は、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、デンマーク、インド、日本、韓国、ラオス、ミャンマー、オランダ、ノルウェー、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、英国、ベトナムおよびオーストラリアの19か国である。