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<解説>防衛装備移転円滑化基金の意義

防衛装備移転円滑化基金は、防衛装備移転を実施する企業が防衛大臣の求めに応じて、わが国の装備品等に用いられている先進的な技術に関する情報を保全するなど、安全保障上の観点から適切な仕様・性能に変更・調整(仕様等調整)を行う際、必要な資金を助成するものです。

基金という形態とすることで、所要が発生してから予算要求を行うのではなく、突発的に発生する案件に迅速に対応することが可能となります。過去の国際競争入札においては、公示から入札までの期間が約1か月と短く、企業が仕様等調整のコスト回収にリスクがあると判断した結果、応札を断念した事例がありました。このような過去の経験も踏まえ、防衛装備移転の機会を逃さないために、弾力的な支出が可能となる本基金を2024年3月に造成しました。なお、契約前であっても、助成金の交付は可能であり、仕様等調整に要する設計費や製造費のほか、防衛装備移転が見込まれる相手国政府などとの間における、仕様等調整内容の具体的な検討などに必要な調査費も対象としています。

また、本基金に認定の見込みのある所要額に応じた十分な残高が確保されることで、仕様等調整に必要な資金が確実に助成される裏付けとなり、企業にとっては防衛装備移転事業に積極的に参入するインセンティブになります。同時に、移転の実現に向けたわが国の積極的な意思表示になり、相手国との信頼関係の維持、移転に向けた交渉の促進にも寄与すると考えております。

2024年の実績としては、2024年7月にインドへの艦艇用アンテナ(ユニコーン)に関する装備移転仕様等調整計画を認定しました。

防衛装備移転三原則などの見直しも踏まえ、各国からの防衛装備移転の引き合いも増加しており、引き続き、わが国にとって望ましい安全保障環境を整える観点からも、防衛装備移転を円滑に行えるよう、更なる認定実績を積み重ね、相手国政府などとの調整に積極的に取り組んでいきます。

相談窓口:soubi-iten@ext.atla.mod.go.jp

インド向けユニコーン(イメージ)

インド向けユニコーン(イメージ)