防衛省は、2025年3月24日をもって陸・海・空自衛隊の共同の部隊として「自衛隊海上輸送群」を海自呉地区(広島県呉市)に新編しました。
自衛隊が島嶼(とうしょ)防衛を万全に行うためには、全国各地から島嶼部に自衛隊の部隊や装備品等を継続的に輸送する必要があり、迅速かつ確実な輸送のためには、航空機による輸送に適さない重装備や一度に大量の物資などを輸送できる海上輸送力の強化が重要です。
このため、防衛力整備計画において、各種輸送アセットの取得に加え、統合運用体制のもと、島嶼部への機動展開能力を強化することを目的として共同の部隊となる自衛隊海上輸送群を新編することとしました。
自衛隊海上輸送群は、統合運用により陸・海・空自の部隊や装備品等の輸送任務を専門的に担う海上輸送部隊ですが、乗組員は陸自の装備品や部隊運用の知見を有する陸上自衛官と艦艇運用の知見を有する海上自衛官とが協力して部隊を運用していくこととしています。
このため、2019年より海自の術科学校や部隊において、陸自隊員が海上輸送群の基幹要員、すなわち「船乗り」になるため、艦艇の運航や機関の運転・整備、通信等に必要な知識・技能について、海自隊員とともに同じ教育課程に入校するなど、基幹要員の育成を進めてきました。
海上輸送群には、これまで大型トラックなどの大型車両の操縦手として任務に当たってきた隊員をはじめ、地上戦闘を担う普通科、火砲を扱ってきた特科、戦車等を操縦してきた機甲科など、様々な職種出身の陸自隊員が配属されています。彼らは陸上自衛官として入隊以降、これまでの職種とは異なる新たな道を切り開き、「船乗り」となるべく、教育や訓練に果敢に挑み、部隊運用に必要な知識や技能を磨き、部隊の新編に向け、着実に準備を進めてきました。
自衛隊海上輸送群の新編によって、大小多くの島々が点在する南西地域において、より迅速かつ確実な輸送が可能となり、海上輸送力ひいては統合輸送能力を強化し、島嶼防衛に万全を期してまいります。
新編行事の状況
進水した輸送艦「にほんばれ」(2024年10月)