(防衛駐在官とは)
防衛駐在官は、諸外国の日本大使館などに駐在し、軍事情報の収集などを行っています。近年、防衛駐在官の業務は、派遣先国との防衛交流、防衛装備・技術協力の調整、任務・活動の際の自衛隊機の受け入れ調整など多岐にわたり、その役割は年々拡大しています。
防衛省では防衛駐在官の派遣体制の充実を図ってきており、最近では、東欧、中東、南シナ海沿岸地域などへの新規派遣・増員を実施してきており、現在53大使館2代表部に合計80人が派遣されています(2013年度の49人体制に比べて約1.6倍)。安全保障環境が一層厳しさと不確実性を増している中、防衛駐在官は、世界各地で日々奮闘し、活躍しています。近年では、イスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突、ロシアによるウクライナ侵略、アフガニスタン、スーダン、エチオピアなどの軍事衝突においても、防衛駐在官は軍事専門的知見を活かしてさまざまな情報収集をタイムリーに行っています。
在オーストラリア大使館の天皇誕生日レセプションにおける大使と防衛省からの出向者
(在レバノン防衛駐在官 1等陸佐 樋口 智也(ひぐち ともなり))
2024年10月、在レバノン邦人等輸送が行われました。レバノンでは特に同年9月下旬以降、ベイルートの日本大使館近傍を含め多くの地区でイスラエル軍による空爆が連日行われるとともに、常にイスラエル軍の無人機のローター音が上空から聞こえるなど、身近に危険が迫っていると感じる状況でした。このような状況により活動が著しく制限される中、各国の状況、特に輸送の発動時期を失しないように各国武官などから情報収集し、レバノン国軍担当者などと調整しました。レバノンや周辺国は不安定な状況が継続しており、引き続き緊張感を持って任務に邁進します。
邦人輸送にかかる英国担当者との会談(筆者は中央)
(在インドネシア防衛駐在官 1等海佐 濱川 翔(はまかわ しょう))
Selamat Siang(こんにちは)。インドネシア防衛駐在官として勤務しております。約30年前に当地で防衛駐在官を務めた父の姿に憧れを抱き、入隊後は「インドネシア防衛駐在官になりたい」との想いを胸に任務に邁進、幸運にも2018年にインドネシア海軍大学への留学機会を頂き、2023年から念願の防衛駐在官となりました。ほとばしる情熱を持って頑張れば、希望に沿う職種に就けるのも、自衛隊の魅力の一つと言えます。
2022年には弟が同大学への留学機会を頂き、家族で日インドネシア防衛協力に寄与できることを大変嬉しく思っております。
スーパーガルーダシールド(多国間演習)の調整釈(筆者は右端)
政治・法務・治安担当調整大臣府次官との意見交換(筆者は右から2番目)
(在米国防衛駐在官 1等空佐 中里 悠花(なかざと ゆうか))
熱気に包まれた大統領選挙。異例の寒波の中始動した第2次トランプ政権。次々と実行される改革。国民の将来への期待と不安。「一人でも世界を変えることができる」まるで映画の中にいるようです。一方、一部を見て米国は語れません。人口約3億人、面積日本の約25倍、世界一の軍隊。唯一の同盟国の防衛駐在官として大局的かつ多角的な情報収集が要求されます。この情報収集を支えるのは人間関係だと実感しています。今後も航空自衛官である夫(配偶者同行休業中)と協力し、多くの人に会い、話し、信頼関係を築き、任務に邁進します。
空軍武官団役員との1枚(筆者は前列左)
日米同盟に関して講演する筆者