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第IV部 防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化

2 女性の活躍推進のための改革

防衛省・自衛隊は、これまで女性の採用・登用のさらなる拡大を図るため、取組計画において具体的な目標を定めるなど、意欲と能力のある女性の活躍を推進するための様々な取組を行ってきた。また、女性・平和・安全保障15(WPS:Women, Peace and Security)に関する取組として、わが国は、防災・災害対応の取組や安全保障政策の意思決定の場における女性の参画を促進している。

参照III部3章1節5項(女性・平和・安全保障(WPS)推進に向けた取組)

1 女性の採用・登用の拡大

防衛省・自衛隊は、取組計画で数値目標を設定し、計画的な女性の採用・登用の拡大を図っている。また、国家安全保障戦略などに基づき、女性の活躍を支える教育基盤の整備や、女性自衛官の増勢を見据えた隊舎・艦艇などにおける女性用区画、女性用トイレや浴場などの整備をスピード感をもって計画的に推進する。

(1)女性自衛官

女性自衛官は、2025年3月末現在、約2万人(全自衛官の約9.1%)であり、10年前(2015年3月末時点で全自衛官の約5.7%)と比較すると、3.4ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。

女性自衛官の採用については、自衛官採用者に占める女性の割合を2021年度以降17%以上とし、2030年度までに全自衛官に占める女性の割合を12%以上とすることとした。2024年、空自は女性自衛官の採用枠を撤廃した。また、登用については、2025年度末までに佐官以上に占める割合を5%以上とすることを目指すこととしている。

(2)女性事務官、技官、教官など

女性事務官、技官、教官などは、2025年3月末現在、約5,600人(全事務官等の約28.1%)であり、10年前(2015年3月末時点で全事務官等の約23.6%)と比較すると、4.5ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。

採用については、2021年度以降、政府目標と同様に、採用者に占める女性の割合を35%以上とすることを目標としている。また、登用については、2025年度末までに、本省係長相当職に占める女性の割合を35%、地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性の割合を10%、本省課室長相当職に占める女性の割合を6%、指定職相当に占める女性の割合を5%とすることを目標としている。

参照図表IV-3-3-1(防衛省における女性活躍と取組計画における目標および現状値)、図表IV-3-3-2(女性自衛官の在職者推移)、図表IV-3-3-3(女性活躍推進関連予算の推移)

図表IV-3-3-1 防衛省における女性活躍と取組計画における目標および現状値

図表IV-3-3-2 女性自衛官の在職者推移

図表IV-3-3-3 女性活躍推進関連予算の推移

2 女性自衛官の活躍推進に取り組む意義と人事管理の方針

自衛隊の任務が多様化・複雑化するなか、自衛官には、これまで以上に高い知識・判断力・技術を備えた多面的な能力が求められるようになっている。また、少子化・高学歴化の進展などによる厳しい募集環境のもと、育児や介護などで時間や場所に制約のある隊員が大幅に増加することが想定される。

こうした環境の変化を踏まえれば、自衛隊としても、従来の均質性を重視した人的組成から多様な人材を柔軟に包摂できる組織へと進化することが求められている。

自衛隊において、現時点で必ずしも十分に活用できていない最大の人材源は、採用対象人口の半分を占める女性である。女性自衛官の活躍を推進することは、①有用な人材の確保、②多様な視点の活用、③わが国の価値観の反映、といった重要な意義がある。このため、防衛省・自衛隊として、意欲と能力、適性のある女性があらゆる分野にチャレンジする道を拓き、女性自衛官比率の倍増を目指している。

なお、女性自衛官の採用・登用に際しては、機会均等のさらなる徹底を図り、本人の意欲と能力・適性に基づく適材適所の配置に努めることを人事管理の方針としている。

動画アイコンQRコード動画:いろいろ守ってます!私たちJ★ガール
URL:https://youtu.be/-bcA9G417vU

3 女性自衛官の配置制限の解除

防衛省・自衛隊は、これまでに女性自衛官の配置制限を順次見直し、実質的に全面解除されている。

これにより、女性自衛官が戦闘機操縦者、空挺隊員、潜水艦の乗員などへ配置され、その活躍の場が広がっている。

15 紛争、災害などにおいて、より脆弱な立場に置かれる女性、女児などが、紛争、災害などの発生時に、特に保護すべき対象であるという考えのもと、女性、女児などの保護や救済に取り組みつつ、女性が指導的・主体的に、紛争の予防、復興および平和構築、ならびに、防災、災害対応および復興のあらゆる段階に参加することで、より持続的な平和に資することができるという考え方。