防衛省・自衛隊で優秀なサイバー人材を確保するには、防衛省・自衛隊のサイバー業務に関心のある人材、サイバーの知見に富んだ人材など幅広い層から人材を確保し、育成していく必要がある。このため、①サイバー人材に必要とされるスキルや保有している能力を正確に「特定」し、②サイバー人材にあった採用を行うなどして「確保」し、③適切な「育成」を行い、④どのように人材を「維持・管理」するか、⑤さらにこうした人材施策全体を総合的に「強化」するなど5つの柱を取組の方向性とし、以下の取組を行い人材確保を進めていく。
サイバー分野への従事を志す人材の専門性をより高めるため、入隊段階からサイバー分野に関連する業務に継続的に従事するキャリアパスを実現する。また、既にサイバーに関連する専門的な知識・資格や業務経験のある人材は、特定任期付自衛官やキャリア採用幹部、技術曹として採用し、その経験などを活かした業務やポストに柔軟に登用する。さらに、幹部自衛官、准曹士、事務官、技官などそれぞれの勤務特性に応じたキャリアパスを確立するなど、サイバーに従事する人材のキャリアパスの「見える化」と、防衛省ならではの勤務経験の魅力化を図ることにより、防衛省における勤務をよりイメージしやすくしながら外部サイバー人材に対して関心を持ってもらうことで、採用の強化にもつなげていく。
常備自衛官とともに様々な任務に就くサイバーの技能を有するサイバー予備自衛官についても、常備自衛官を強力に補完する任務にあたるなど、自衛隊の作戦の一端を担わせることを念頭に運用の幅を拡充すべく検討をしている。また、人材の確保にあたっては、部外で活躍する自衛官未経験のサイバー人材を予備自衛官補として採用し、サイバー予備自衛官へ任用するための取組を強化するため、身体検査基準の緩和、予備自衛官補からサイバー予備自衛官への早期任用や常備自衛官への採用についても検討していく。
自衛隊のサイバー業務に関心のある優秀な学生を早期に確保するため、毎月一定額の学資金を貸与する自衛隊奨学生制度を活用し、サイバー業務に関心のある優秀な学生の学びを支援するとともに、将来、自衛隊のサイバー専門部隊などで勤務してもらえるよう、防衛省サイバーコンテストや採用説明会なども活用しながら関心を得ることで強化していく。
優秀な人材を発掘するために開催している「防衛省サイバーコンテスト」や、全国の大学、高校、専門学校における採用説明会などの取組の充実により、防衛省での勤務に意欲のある人材への積極的なアプローチを強化していく。
防衛省・自衛隊では、事務官・技官の経験者採用、キャリア採用幹部・技術曹としての採用、特定任期付自衛官やサイバーセキュリティアドバイザーとしての採用といった多種多様な採用区分が存在する。専門的な資格や業務経験を有する外部人材の受入れをより推進するため、ライフスタイルや目指すキャリアに応じた多様な採用区分の存在を丁寧に説明するとともに、自衛隊員になり得る潜在的な人材に対し、防衛省のサイバー人材に関する採用情報や勤務の魅力の発信を強化していく。例えば、サイバー人材の集まる時間、場所、属性などに合わせたターゲティング広告を発信し、防衛省におけるサイバー人材の業務、キャリアパス、やりがい、処遇の魅力や、他国軍のサイバー部隊との共同演習に代表される自衛隊ならではの機会の獲得など、防衛省・自衛隊独自の魅力の発信を積極的に行っていく。