自国の平和を維持するためには、抑止力・対処力を強化するのみならず、自国を取り巻く安全保障環境の安定化が不可欠である。そのため、防衛省・自衛隊は、自由で開かれたインド太平洋(FOIP:Free and Open Indo-Pacific)の実現に向けた取組として、広くインド太平洋地域において同盟国・同志国などとの共同訓練を積極的に推進している。特に、わが国の安全保障と密接な関係を有するインド太平洋地域において、パートナーシップを強化するとともに、共同訓練などといった共通の努力を同盟国・同志国などと行い、各国の能力・練度の維持・向上および共同・連携による抑止力・対処力の強化により、相乗効果を発揮することで、力による一方的な現状変更やその試みを許さない安全保障環境の創出を図っている。
陸自は、2024年9月、国内では陸軍種初となる、フランスとの共同訓練を行った。本訓練では、戦闘射撃や総合的な実動訓練を行い、対ゲリラ・コマンドウ作戦にかかる作戦遂行能力および戦術技量の向上を図るとともに、フランス陸軍との相互理解・信頼関係を促進した。
陸自は、2025年1月、国内において英陸軍との共同訓練を行った。本訓練では、へリボン訓練、潜入・偵察訓練、衛生訓練など島嶼防衛にかかる実動訓練を行い、作戦遂行能力、戦術技量の向上を図るとともに、英陸軍との相互理解・信頼関係を促進した。
動画:令和6年度英陸軍との実動訓練(ヴィジラント・アイルズ24)
URL:https://www.youtube.com/watch?v=cDt9aV48mgc
陸自は、2025年2月から3月にかけて、国内においてインド陸軍との共同訓練を行った。本訓練では、対テロ戦にかかる作戦遂行能力および戦術技量の向上を図るとともに、インド陸軍との相互理解・信頼関係を促進した。
海自は、艦艇、航空機による寄港・寄航の機会などを利用し、各国との二国間共同訓練および親善訓練12を行うほか、豪海軍と「日豪トライデント」、インド海軍と「JIMEX」、フランス海軍と「オグリ・ヴェルニー」、カナダ海軍と「KAEDEX(カエデックス)」などの二国間共同訓練を継続的に行っている。なお、2024年6月に行ったインド海軍との「JIMEX2024」では、海自潜水艦を使用した対潜戦訓練を行うなど、海自とインド海軍との相互運用性の向上を図った。
空自は、2024年10月、フィリピンで行われた日比HA/DR共同訓練「ドウシン・バヤニハン4-24」に参加した。本訓練は、HA/DRに関する能力向上、フィリピン空軍との連携強化を目的としたものであり、物料投下訓練、大量傷病者救護訓練などを行い、フィリピン空軍との連携強化を図った。
大量傷病者救護訓練に参加する日フィリピンの隊員(2024年10月)
空自は、2024年8月、国内においてイタリア空軍との共同訓練を行った。本訓練では、イタリア空軍のF-35A戦闘機、ユーロファイター戦闘機およびKC-767空中給油機などと共同訓練を行い、日伊空軍種間の相互理解の促進、防衛協力のさらなる深化に加えて、空自の戦術技量の向上を図った。