日米両国は、首脳・閣僚レベルをはじめ様々なレベルで緊密に連携し、二国間のみならず、インド太平洋地域をはじめとする国際社会全体の平和と安定や繁栄のために、多岐にわたる分野で協力関係を不断に強化・拡大させてきた。
日米間の安全保障に関する政策協議は、日米安全保障協議委員会(SCC:Security Consultative Committee)(日米「2+2」)、日米安全保障高級事務レベル協議、防衛協力小委員会など、防衛・外務の様々なレベルで緊密に行われている。中でも、防衛・外務の閣僚級協議である「2+2」は政策協議の代表的なものであり、重要な協議機関として機能している。
また、累次の機会を捉えて、日米防衛相会談を行い、両国の防衛政策や防衛協力について協議しており、加えて、事務次官や各幕僚長などの実務レベルにおいても、常日頃から協議や必要な意見交換などを行っている。
防衛省においては、日米安保体制の信頼性をさらに向上させるため、このような協議などを積極的に行い、日米間で情報や認識を共有するとともに、日米同盟の抑止力・対処力のさらなる強化に向けた具体的な取組について議論を行っている。
石破内閣総理大臣は、2025年2月、米国を訪問し、新しく米国大統領に就任したトランプ大統領と日米首脳会談を行うとともに、日米首脳共同声明を発出した。両首脳は、平和のための日米協力として、日米同盟が、インド太平洋およびそれを超えた地域の平和、安全および繁栄の礎であり続けることを強調した。また、両首脳は、一層厳しく複雑な安全保障環境に対処すべく、自衛隊および米軍のそれぞれの指揮・統制枠組みの向上、日本の南西諸島における二国間のプレゼンスの向上、より実践的な訓練および演習を通じた即応性の向上、拡大抑止の更なる強化ならびに同盟のサプライチェーンおよび海洋を含む日米の防衛産業力を強化する共同生産、共同開発および共同維持整備を含む防衛装備・技術協力の推進によるものを含む防衛・安全保障協力の向上を通じ、日米同盟の抑止力・対処力をさらに強化していく意図を有することを確認した。両首脳は、これらの協力を速やかに実施するため、日米「2+2」を早期に開催するよう指示したことなどを発表した。
日米首脳会談(2025年2月)【内閣広報室提供】
2025年3月、中谷防衛大臣はヘグセス米国防長官と防衛省において日米防衛相会談を実施した。両閣僚は、一層厳しく複雑な安全保障環境に関する認識を共有した上で、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現のために両国が緊密に協力し、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していくことを確認した。特に、①日米の指揮・統制枠組みの向上について、自衛隊の統合作戦司令部の創設や在日米軍の統合軍司令部へのアップグレードの開始を含む具体的な進展を歓迎し、平時から緊急事態までの日米の共同活動にかかる協力を一層効果的に実施するために引き続き取り組むこと、②南西地域における日米の共同プレゼンスの拡大について、より高度かつ実践的な共同訓練の拡充を含め、同盟の最優先事項の一つとして取り組むこと、③防衛装備・技術協力について、日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS(ダイキャス):Forum on Defense Industrial Cooperation, Acquisition and Sustainment)の枠組みを効果的に活用しつつ、次回協議に向けてAMRAAM(アムラーム:Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile)などのミサイル共同生産や米軍艦艇・航空機の共同維持整備にかかる取組を加速し、日米の防衛産業基盤の相互補完・強化に取り組むことなどついて重点的に議論を行った。さらに、日米を中核として、オーストラリア、韓国、フィリピンを始めとする地域のパートナーとの間で、情報共有や運用面を含む協力を進展させていくことで一致した。
日米防衛相会談(2025年3月)
また、両閣僚は、抑止力を維持し、地元への影響を軽減するため、普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策である辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含む普天間飛行場の返還を含め、沖縄統合計画およびその他の既存の二国間取決めに従った在日米軍再編の着実な実施が極めて重要であることを確認した。また、在日米軍による事件・事故の再発防止のための協力を進めることで一致した。
参照図表III-2-1-1(日米安全保障問題に関する日米両国政府の関係者間の主な政策協議)、V部1章3節3項2(1)(日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS))、2節(日米共同の抑止力・対処力の強化)、資料26(日米協議の実績(2021年以降))、資料27(日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)共同発表(仮訳))、資料28(日米安全保障協議委員会(日米「2+2」閣僚会合(概要)(2024年7月))