防衛省・自衛隊では、防衛医科大学校を中心とした卒後の臨床教育の充実や、医官の診療機会を確保するための各種取組の促進、感染症や救急医療をはじめとした専門的な知識・能力の取得・向上などにより、医官の確保・育成を図りつつ、医療技術の練度を維持・向上させている。
また、看護官についても、医官と同様、部内外病院などにおける実習など、知識・技術を維持・向上するための施策を講じている。
さらに、国際平和協力活動、大規模災害などを含む多様な任務や特殊な環境での任務を遂行するため、衛生科隊員、診療放射線技師、臨床検査技師や救急救命士などの医療従事者を自衛隊の病院や学校などにおいて教育・養成している。
防衛省・自衛隊は、これまで、国連三角パートナーシップ・プログラム(UNTPP:United Nations Triangular Partnership Programme)の枠組みにおける国連野外衛生救護補助員コースへの教官派遣(UNFMAC:United Nations Field Medical Assistant Course)、国際緊急援助活動として、海外被災地での医療提供などに参加しているほか、インド太平洋地域を中心とする国々に対し、潜水医学、航空医学、災害医療など医療分野での能力構築支援や共同訓練を積極的に行っている。米軍主催のパシフィックパートナーシップに毎年参加し、各地で医療支援活動を実施しており、2023年は、米海軍病院船における診療やパラオにおける日米英共同の医療活動を実施した。そのほか、インドネシア海軍主催多国間共同訓練「Komodo(コモド)2023」に際し実施された医療支援活動プログラム(MEDCAP:Medical Civic Actions Program)や多国間共同訓練「コブラゴールド」など、海外で実施される各種医療訓練にも隊員を派出している。
感染症対応については、海外での活動に資する人材の育成や、感染症患者搬送用の機材整備、既知の感染症の中で最も危険性が高いとされる一類感染症5の罹患患者に対する診療を行うため、部隊、防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院に所要の施設器材の整備を行うなど、能力の向上を図っている。
そのほか、海外での医療活動を行ううえで有効な移動式医療システムの更新、国際機関や米国防省などの衛生関係部局への要員派遣など、様々な国際協力に必要な態勢の整備を推進している。