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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

2 自衛隊の統合運用体制

自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するため、防衛省・自衛隊は、陸・海・空自を一体的に運用する統合運用体制をとっている。現下の安全保障環境も踏まえ、統幕の機能強化をはじめ、統合運用基盤の強化に取り組んでいる。

1 統合運用体制の概要
(1)統幕長の役割

ア 統幕長は、統一的な運用構想を立案し、自衛隊の運用に関する軍事専門的見地からの大臣の補佐を一元的に行う。

イ 自衛隊の運用に関する大臣の指揮は統幕長を通じて行い、自衛隊の運用に関する命令は、統幕長が執行する。その際、統合任務部隊3が組織された場合はもとより、単一の自衛隊の部隊を運用して対処する場合であっても、大臣の指揮命令は、統幕長を通じて行われる。

(2)統幕長と他の幕僚長との関係

統幕は、自衛隊の運用に関する機能を担い、陸・海・空幕は、人事、防衛力整備、教育訓練などの部隊を整備する機能を担う。

参照図表III-1-1-3(自衛隊の運用体制及び統幕長と陸・海・空幕長の役割)

図表III-1-1-3 自衛隊の運用体制及び統幕長と陸・海・空幕長の役割

2 統合運用機能の強化

自衛隊の運用に関する意思決定について、的確性を確保したうえで、より迅速なものとなるよう、15(平成27)年10月、実際の部隊運用に関する業務を統幕に一元化すべく、運用企画局を廃止するとともに、同局の機能のうち、運用に関する法令の企画・立案機能などを防衛政策局に移管した。これにより、統幕は、従来は本省内部部局が行っていた国会答弁を含む対外説明や関係省庁との連絡調整といった業務を担うこととなったため、統幕副長級の文官ポストである総括官を新設し、実際の部隊運用に関し文官の専門的知見を活かして対外的な連絡調整などを行うこととした。また、部課長級の文官ポストである参事官を新設し、その下に所要の人員を配置した。

3 統合運用体制の充実のための基盤整備

統合運用体制では、陸・海・空自の各部隊間における確実な指揮命令の伝達と迅速な情報共有が重要である。統合運用基盤を強化するため、高度な情報通信ネットワークを活用した指揮統制機能及び情報共有態勢を保持することとされており、引き続き内外の優れた情報通信技術を利用したより広範・機動的な情報通信態勢の構築を進めている。

各部隊においても、各種事態に対応するための計画の作成などを行うとともに、統合訓練などを通じて、任務を遂行できる態勢を維持する必要がある。そのため、主要部隊司令部には、他自衛隊の幕僚を平素から配置するとともに、必要に応じて幕僚を増員している。

そのほか、教育訓練の充実、自衛隊の司令部組織のあり方、統合運用に適した人材の育成、装備品の共通化などについて、より効果的な運用体制を目指して引き続き検討し、必要な措置を講じていく。

3 自衛隊法第22条第1項又は第2項に基づき、特定の任務を達成するために特別の部隊を編成し、又は隷属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に所要の部隊を置く場合であって、これらの部隊が陸・海・空自の部隊のいずれか2以上からなるものをいう。