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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

第5節 オーストラリア

1 全般

オーストラリアは、自由と人権の尊重、民主主義といった普遍的な価値をわが国と共有し、わが国や韓国と同様、米国と同盟関係にある。

オーストラリアでは、13(平成25)年9月に連邦議会選挙が行われ、下院を制した保守連合のアボット自由党党首が首相に就任し、政権が労働党から保守連合へと交代した1。アボット政権は、前政権による国防費の削減を非難し、より強じんな国防力の建設に向けて必要とみなす投資は積極的に行う姿勢を示してきた。

こうした方針は15(同27)年9月に発足したターンブル政権にも引き継がれている。16(同28)年2月に同政権のもと発表された国防白書においては、今後二十年間、豪軍の高い能力水準を維持するため、豪政府として重要な投資を行っていくとして、兵力を増強するとともに、高性能な装備品の取得などを継続する方針を示している。また、国防予算についても、今後十年間における増額方針を明確に示すとともに、20(同32)年までに対GDP比2パーセントを達成するという具体的な目標も提示している。対外関係においては、米国との同盟関係を引き続き最重要視しつつ、わが国を含むインド洋・太平洋地域のパートナーとの実用的な関係の成熟・深化を目指していくとしている。さらに、ルールに基づく国際秩序における国益に資する共同オペレーションへの軍事的貢献という国防戦略上の目標を達成するため、海外への豪軍派遣などを通じて積極的に国際社会の平和と安定に向けた貢献を行っている。

1 同選挙では、下院において、自由党や国民党などからなる保守連合が、150議席中90議席を獲得した。この結果、下院で過半数を占めた保守連合構成政党のうち、最も多い議席を持つ自由党のトニー・アボット党首が、オーストラリアの第28代首相に就任した。