防衛駐在官は、諸外国の日本大使館などに駐在し、軍事情報の収集、駐在国との防衛協力にかかる調整などの任務にあたっている。防衛駐在官は、駐在国の軍・国防当局や他国の駐在武官から、「国防」という任務を共有する軍同士の信頼関係に基づき、様々な情報を入手することができる。
安全保障環境が一層厳しさを増している中、軍事情報を適時に収集する重要性は高まっており、また、わが国と各国との防衛協力は、装備協力も含めて、質量共に拡大していることから、防衛駐在官に期待される役割はますます高まっている。そのため、防衛省は防衛駐在官の派遣体制の強化に取り組んでいる。
昨年度、防衛省は、在アルジェリア邦人に対するテロ事件も踏まえ、アフリカに関する情報収集能力の強化を図るため、アフリカ7か国(アルジェリア、エチオピア、ケニア、ジブチ、ナイジェリア、南アフリカ、モロッコ)に防衛駐在官を新規に派遣した。また、アフリカに関する情報を幅広く有している欧州3か国(英国、ドイツ、フランス)に防衛駐在官1名の増員を行った。
さらに、現在、防衛省は、外務省と共にシリアにおける邦人殺害テロ事件も踏まえ、中東地域における防衛駐在官の派遣体制強化を検討している。
防衛駐在官は、防衛省から外務省に出向のうえ、諸外国に派遣されるが、外務事務官の身分と併せて自衛官の身分も保有する。これにより、外交一元化の原則を維持しつつ、外務省と防衛省が緊密に連携できる仕組みが確保されている。平成27年3月31日現在、防衛省は40大使館および2政府代表部に合計58名の防衛駐在官を派遣している。
今年1月にアルジェリアに新規派遣された
防衛駐在官