00(平成12)年9月の「2+2」会合において、両国政府は、環境保護が重要であるとの認識のもと、在日米軍施設・区域の周辺住民、米軍関係者やその家族などの健康と安全の確保を共通の目的とすることに合意し、「環境原則に関する共同発表」20を行った。この発表のフォローアップのため、日米協議が強化され、具体的には日本環境管理基準21(JEGS:Japan Environmental Governing Standards)の定期的見直しの際の協力の強化、環境に関する情報交換、環境汚染への対応などにかかわる協議について、防衛省としても、関係省庁と連携して取り組んでいる。
また、10(同22)年5月の「2+2」会合では、「緑の同盟」のアプローチをとる可能性について議論がなされ、日本国内において整備中の米国の基地に再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、在日米軍駐留経費負担(HNS:Host Nation Support)の一構成要素とすることを含め検討された。その結果は、II部3章4節1項3で述べた在日米軍駐留経費負担の包括的見直しに反映されている。
さらに、13(同25)年12月には、日米両政府が「在日米軍施設・区域における環境の管理に係る枠組みに関する共同発表」を公表した。両政府は、在日米軍施設・区域に関連する環境の管理に一層取り組むための協議を行い、14(同26)年10月の日米共同報道発表において、日米地位協定を補足する協定について、実質合意に至ったことを発表した。この補足協定は、環境保護の重要性を認識するより広範な枠組みの一部であり、13(同25)年12月の共同発表に定める二国間の目標を満たすものである。双方は、今後、この枠組み全体を完成させる技術的な事項に関する一連の付随する文書をまとめることを目指すこととしている。
普天間飛行場代替施設建設事業の実施に関しては、環境への影響をできる限り回避または軽減するため、ウミガメ類の上陸・産卵に適した環境条件の整備の検討および実施、サンゴ類および海草類の移植、航空機や水中録音装置などによる定期的なジュゴンの生息確認ならびに本事業の有無にかかわらず発生する岩ズリ22の埋立土砂としての活用など事業者として最大限の環境保全措置などを講ずるほか、事後調査などを充実することとした。なお、これら環境保全の取組については、沖縄県知事からの埋立承認時に付された留意事項を踏まえ、環境監視等委員会を設置し、専門家などの指導・助言を得ながら行うとともに、必要に応じて環境保全措置の改善や調査範囲の拡大を図るなど環境の保全に万全を期すこととした。
わが国は、在日米軍施設・区域の周辺地域の生活環境などの整備のための措置を行っている。また、市町村に対し、固定資産税の代替的性格を有する基地交付金23などを交付している。
参照III部4章1節4項(防衛施設と周辺地域との調和を図るための施策)
さらに、在日米軍施設・区域の周辺地域において、米軍人などによる事件・事故が地域や住民に影響を与えており、政府は、米軍に対し、軍人などの教育や綱紀粛正といった再発防止策について実効性のある措置を講ずるよう求めている。また、こうした再発防止策に協力するとともに、事件・事故による被害に対し迅速で適切な補償が行われるよう措置している。
米側においても、夜間飲酒規制措置や一定階級以下の米軍人を対象とする夜間外出規制措置などを含む勤務時間外行動の指針(リバティ制度)を実施している。米軍人などによる事件・事故の防止については、関係者による不断の取組が重要であり、防衛省としても、地元や関係機関などの意見を踏まえつつ、引き続き、米軍人による事件、事故の防止に努力していく。