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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

2 防衛省改革の方向性

1 検討経過

委員会をはじめとする様々なレベルで行われた議論および検討を踏まえ、13(平成25)年8月29日、第7回委員会において「防衛省改革の方向性」を取りまとめ、同月30日、防衛会議に報告・公表した。

参照資料76(防衛省改革の方向性)

2 改革の基本的考え方と方向性

わが国を取り巻く安全保障環境は一層深刻化しているとともに、東日本大震災などを通じた部隊運用にかかる教訓事項なども認識されている。また、国家安全保障会議の設置や武器輸出三原則等(当時)の包括的例外化措置など、政策的環境の変化も生じてきている。

「防衛省改革の方向性」においては、このような状況の変化を踏まえるとともに、これまでの検討において指摘された事項も十分考慮し、抜本的な改革を実施することとされた。組織改編を含めた抜本的な改革の方向性は次のとおりであり、同内容は新中期防にも盛り込まれている。

(1)文官と自衛官の垣根を取り払う

文官と自衛官の一体感を醸成するため、内部部局に自衛官ポストを定員化するとともに、各幕僚監部・主要部隊などに新たな文官ポストを定員化する。

(2)部分最適化から全体最適化へ(防衛力整備)

陸・海・空自衛隊の縦割りの個別最適による防衛力整備を排し、全体最適化された防衛力整備がなされるよう、統合運用を踏まえた防衛力整備の業務フローを確立する。あわせて、装備品などのライフサイクルの一貫した管理により、装備取得の効率化および最適化を図り、防衛力の全体最適化に寄与する組織の改編を行う。

(3)的確な意思決定をより迅速に(統合運用)

自衛隊の運用に関する意思決定について、的確性を確保したうえで、より迅速なものとなるよう、実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化すべく、組織の見直しなどを実施する。

(4)政策立案・情報発信機能のさらなる強化へ

国際関係業務の飛躍的増大や国家安全保障会議設立に対応した政策立案機能を強化する。あわせて、情報発信機能強化も実施する。

「防衛省改革の方向性」においては、これらの改革を真に実効的なものとするためには、文官・自衛官双方の意識改革が不可欠であるとし、また、事態対処などの業務の停滞や混乱を招かぬようスムーズに改革を進める必要があるとしている。このため、内部部局・各幕僚監部が車の両輪として防衛大臣を補佐する一方、着実かつ段階的に改革を行い、一連の改革を定着させることが重要としている。

3 改革の具体的取組

上記の改革の方向性を踏まえ、防衛省改革として取り組む具体的な事項を取りまとめた。

参照図表IV-2-3-1(防衛省改革の具体的な取組)

図表IV-2-3-1 防衛省改革の具体的な取組

これを受け、平成26年度においては、以下の取組などを実施している。

まず、防衛省設置法を改正し内部部局における自衛官ポストを計40名定員化するとともに、統合幕僚監部、陸上自衛隊各方面総監部、海上自衛隊横須賀および佐世保地方総監部、航空自衛隊航空総隊および航空支援集団司令部に新たな文官ポストを定員化する1

また、多様化する安全保障上の課題や飛躍的に増大している国際関係業務に対応し、防衛大臣をはじめとする政務の補佐体制を万全にするため、国際関係業務などを総括整理する防衛審議官を新設する1

さらに、プロジェクト・マネージャー(PM)のもと、組織横断的なIPT(統合プロジェクトチーム)を設置し、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理を一元的に実施するため、PMとしてプロジェクト管理を専属的に担当する要員を配置する。

これらの取組に加えて、中期的には、防衛装備庁(仮称)の設置も視野に入れた装備取得関連部門の統合や、実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化することなどによる運用企画局の改廃などの組織改編などを行うべく検討を進めている。

参照図表IV-2-3-2(防衛省改革の検討体制)

図表IV-2-3-2 防衛省改革の検討体制

1 これらの取組を盛り込んだ「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が14(平成26)年6月6日に成立した。