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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

4 衛生機能の強化

1 防衛医科大学校に4年制の看護学科を新設

防衛省・自衛隊では、任務の多様化・国際化、医療技術の高度化・複雑化に十分に対応し得る専門的知識・能力と豊かな人間性や的確な判断力を有する資質の高い看護師を養成する必要が高まっている。このため、14(平成26)年4月、防衛医科大学校医学教育部に4年制の保健師および看護師の養成課程として「看護学科」を新設した。看護学科には、幹部自衛官となるべき者を養成する課程(1学年75名。以下「自衛官コース」という。)と技官となるべき者を養成する課程(1学年45名。以下「技官コース」という。)の二つのコースがある。また、自衛官コースについては、幹部自衛官となるために必要な訓練も行う。看護学科卒業後、自衛官コース修了者は、幹部候補生学校での教育訓練を終えた後、自衛隊の衛生部隊や自衛隊病院などで勤務し、技官コース修了者は、高度な医療技術を必要とする防衛医科大学校病院で勤務することとしている。

2 医官・看護師などの教育の強化

自衛隊の医官は、階級、役職などに応じて、幹部自衛官としてふさわしい見識と素養、衛生分野のリーダーとしての統率力を有するとともに、総合臨床医としての能力を発揮することが求められており、平素から能力の維持・向上に努めている。

しかし、現在、医官の充足率は低く、特に国際平和協力活動などにおいて中核となるべき中堅層で顕著である。この要因は医官の離職であり、その主な理由の一つとしては「医師としての研修・診療機会の不足」があげられる。

今後、防衛省・自衛隊としては、研修・診療機会を拡充し、医官としての専門技能の修得、維持および向上を図るとともに、モチベーションの向上、組織に対するロイヤリティーの向上を図ることにより離職を防止し、多様化する任務を適切に遂行し得る医官を養成するための各種施策を講ずることとしている。

また、新中期防を踏まえ、看護師や救急救命士などについても教育を強化し、より専門的かつ高度な技能を有する要員の確保に努めていく。

3 自衛隊病院の拠点化・高機能化など

自衛隊病院は各種事態対処時に隊員の後送病院としての役割を果たすとともに、平素は、隊員、家族などの診療、医療従事者の技量の維持・向上および養成のための教育機関としての役割も有している。

そのため、新防衛大綱および新中期防に基づき、自衛隊病院の拠点化・高機能化や病院・医務室間のネットワーク化を進め、地域医療にも貢献しつつ、防衛医科大学校病院などの運営の改善も含め、効率的かつ質の高い医療体制の確立を図っていく。

また、事態対処時において、第一線で負傷した自衛官などを最大限救命するための救護能力について、制度面も含めた所要の検討を行うとともに、迅速な後送態勢の整備を図る。また、一般の医科大学にはない防衛医学の教育・研究拠点としての防衛医科大学校の機能を強化することとしている。