技術研究本部では、自衛隊のニーズに対応した先進的研究や技術ニーズに基づく将来性の高い技術提案を行うとともに、先進技術を取り込み、機動戦闘車、潜水艦用新魚雷(G-RX6)、新空対艦誘導弾(XASM-3)などの装備品を開発試作し、その試験評価を行っている。ニーズに対応した研究の例として、部隊運用上の要求を踏まえ、平成24年度から「運用実証型研究」1として、サイバー攻撃対処の効果検証を行うためのサイバー演習環境構築技術の研究を実施している。
また、統合運用の観点から、F-2戦闘機などについて、戦術情報を共有して戦力のネットワーク化による組織戦闘の実現を図るための戦闘機搭載用の高機能デジタルデータリンクシステムの開発やこれまでに開発した野外通信システムについて、ソフトウェア無線技術により陸海空作戦部隊間における無線秘匿通信機能を付加する研究(「運用実証型研究」)を行っている。
さらに、防空能力の向上のため、将来地対空誘導弾の技術的検討を進めるほか、将来戦闘機に関し、国際共同開発の可能性も含め、F-2戦闘機の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるよう、国内において戦闘機関連技術の蓄積・高度化を図るため、実証研究を含む戦略的な検討を推進している。具体的には、ステルス性および高高度・高速戦闘能力を確保するために、先端材料技術を駆使して大推力を有する戦闘機用エンジンなどの研究を実施しているほか、機体、エンジンなどにかかる各種先進技術をシステム・インテグレーション2した高運動ステルス機である先進技術実証機の研究を実施している。また、警戒監視能力の向上のため、電波情報収集機の開発のほか、新たな固定式警戒管制レーダーや複数のソーナーの同時並行的な利用により探知能力を向上させたソーナーの研究を実施している。さらに、大規模災害を含む各種事態発生時に柔軟な運用を可能とする無人装備などの研究を推進している。
これらの研究に加えて、弾道ミサイルを発射段階で探知するため、以前より、航空機に搭載可能な赤外線センサの研究を実施しており、この成果を活用し、現在、小型化した赤外線センサを無人航空機に搭載した弾道ミサイル警戒監視システムの実現に必要なシステム・インテグレーション技術の研究を行っている。また、遠方からステルス機、高速巡航ミサイル、弾道ミサイルなどの新たな経空脅威を早期に探知するため、レーダーと赤外線センサの異なるセンサを有機的に組み合わせた遠距離探知センサシステムの研究を行っている。
開発中の機動戦闘車