ソマリア沖・アデン湾の海域においては、人質の抑留による身代金の獲得などを目的として、機関銃やロケット・ランチャーなどで武装した海賊による事案が継続して生起している。ソマリア沖・アデン湾の海賊はわが国を含む国際社会への脅威であり、国際社会と協力して対応すべき課題である。
参照図表III-3-3-1(ソマリア沖・アデン湾における海賊等事案の発生状況(東南アジア発生件数との比較))
08(平成20)年6月に採択された国連安保理決議第1816号をはじめとする累次の決議1において、各国は、ソマリア沖・アデン湾における海賊行為を抑止するための行動をとるよう要請されており、特に軍艦および軍用機を派遣することを要請されている。
これまでに、米国など約30か国がソマリア沖・アデン湾に軍艦などを派遣している。また、欧州連合(EU)は同年12月、海賊対処のための作戦(アタランタ作戦)の開始を決定して、国連世界食糧計画(WFP:United Nations World Food Programme)の物資を輸送する船舶の護衛や同海域の警戒などを行っており、NATOも、09(同21)年8月から、NATOとしての海賊対処作戦(オーシャンシールド作戦)を行っている。
各国は、現在も引き続きソマリア沖・アデン湾の海賊に対して重大な関心を持って対応している。