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第III部 わが国の防衛のための取組

8 海洋の安全確保

わが国は、6,800あまりの島々から構成され、その領海と排他的経済水域を合計すると、国土面積約38万km2の約12倍、世界第6位の約447万km2に及ぶ海洋国家である。政府は、海洋基本法にある海洋の平和的・積極的な開発・利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋国家を実現することが重要との考えのもと、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進している。

13(平成25)年4月26日に閣議決定された新たな海洋基本計画では、海洋をめぐる情勢の変化を踏まえ、①国際協調と国際社会の貢献、②海洋の開発・利用による富と繁栄、③「海に守られた国」から「海を守る国へ」、④未踏のフロンティアへの挑戦といった海洋立国日本の目指すべき姿を明記し、今後おおむね5年間に重点的に推進する取組を定めている。この中で、海洋の安全の確保については、広域的な常時監視体制の強化や、艦船、航空機などの計画的な整備、自衛隊と海上保安庁との連携体制の強化、沿岸、離島の治安・安全確保のための連携体制の構築などに取り組むこととしている。

さらに、海洋基本計画では、海洋の秩序の形成・発展に貢献するため、国際的な連携の確保および国際協力の推進として、多国間および二国間の海洋協議などの場を活用して国際的なルールやコンセンサス作りに貢献することとされている。これを受け防衛省は、拡大ASEAN国防相会議(ADMM(ASEAN Defense Ministers' Meeting)プラス)や海上安全保障分野におけるARF会期間会合(ISM-MS:Inter-Sessional Meeting on Maritime Security)といった地域の安全保障対話の枠組みにおいて、海上安全保障のための協力に取り組んでいる。

また、海自は西太平洋海軍シンポジウム(WPNS:Western Pacific Naval Symposium)の枠組みのもとで、14(同26)年4月の第14回本会合(青島)で採択された「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準29」(CUES:Code for Unplanned Encounters at Sea)の策定に積極的に参画・協力するなどの取組を行っている。

参照III部3章1節2(多国間安全保障枠組み・対話における取組)

29 西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)参加国の海軍艦艇および海軍航空機が、洋上において予期せず遭遇した場合における安全のための手順、通信方法などを定めるもの(法的拘束力を有さず、国際航空規則や国際条約などに優越しない。)