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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

2 国家安全保障の基本理念

1 わが国が掲げる理念―国際協調主義に基づく積極的平和主義―

わが国は、豊かな文化と伝統を有し、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を掲げた経済大国である。また、海洋国家としての顔もあわせ持つ。そしてわが国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩み、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた。

わが国は、平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、国際政治経済の主要プレーヤーとして、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、わが国の安全およびアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定および繁栄の確保に、これまで以上に積極的に寄与していく。

2 わが国の国益と国家安全保障の目標

以上の基本理念を具体的政策として実現するにあたっては、わが国の国益と国家安全保障の目標を明確にする必要がある。

わが国の国益は、

○ わが国自身の主権・独立を維持し、領域を保全し、国民の生命・身体・財産の安全を確保し、豊かな文化と伝統を継承しつつ、わが国の平和と安全を維持し、その存立を全うすること

○ 経済発展を通じてわが国と国民のさらなる繁栄を実現し、わが国の平和と安全をより強固なものとすること

○ 自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持・擁護することである。

これらの国益を守り、国際社会においてわが国に見合った責任を果たすため、以下の国家安全保障の目標の達成を図る。

○ わが国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために、必要な抑止力を強化し、わが国に直接脅威が及ぶことを防止するとともに、万が一脅威が及ぶ場合には、これを排除し、かつ被害を最小化すること

○ 日米同盟の強化、域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化、実際的な安全保障協力の推進により、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、わが国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減すること

○ 普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化や紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善し、平和で安定し、繁栄する国際社会を構築すること

参照図表II-3-2-1(国家安全保障戦略および新防衛大綱の構成)

図表II-3-2-1 国家安全保障戦略および新防衛大綱の構成