第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 

第4章
国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組


第1節 国際平和協力活動への取組


1 概説

近年、これまで行ってきた国際平和協力業務や国際緊急援助活動以外にも、自衛隊が海外で活動する機会が増えている。これは、初めて自衛隊の部隊を海外に派遣したペルシア湾への掃海(そうかい)艇部隊の派遣から10年以上が経過した中で、これまで与えられた任務を行ってきた隊員たちにより、国際社会における自衛隊の信頼度を高めてきた証左であるといえる。
 また、自衛隊は、これまで海外での活動において、多くの諸外国の国民や軍隊と交流し、又は活動を共にしてきた。そこでは、創隊以来自衛隊が培ってきた特有の組織力、協調性、勤勉性などをいかんなく発揮し、派遣部隊は関係諸国との良好な関係を築きながら、海外での活動の任務を確実に行ってきた。
 これらにより自衛隊の海外における活動は、国際連合(国連)をはじめとする国際機関や諸外国から高く評価され、また国際社会における期待も高まってきている。

 
国際平和協力活動の状況(昨年5月以降)

 防衛庁・自衛隊は、次表に示す国際平和協力法1、テロ対策特措法2やイラク人道復興支援特措法3に基づき、現在も海外に部隊などを派遣し活動している。
 07大綱4では、こうした自衛隊による活動は、「より安定した安全保障環境の構築への貢献」として、防衛力の役割の1つとして位置付けられてきた。他方、昨年12月に策定された新防衛大綱5では、国際社会の取組を踏まえ「国際的な安全保障環境を改善し、我が国に脅威が及ばないようにすること」を、わが国の安全保障の1つの目標として掲げている。これまで国際的な平和に対する協力について、「貢献」は他者のために行うものであり、必ずしも日本の平和に直接に関連するものではないというニュアンスで語られることが多かったが、新防衛大綱では、国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動(以下「国際平和協力活動」という。)に主体的・積極的に取り組んでいくこととしている。

 
国際平和協力活動関連法の総括的な比較

 なお、テロ対策特措法及びイラク人道復興支援特措法は、国際社会における事案の発生を受け、わが国として対応措置を講ずる必要性を主体的に判断した上で、法律案の策定、審議、成立などの手続きを経て施行してきたものであり、この成立背景から、これら法律は、一定期間を経過した後に失効するが、それ以前であっても、対応措置の必要がなくなれば速やかに廃止するものとされている。
 本節では、国際平和協力活動の内容について詳しく説明するとともに、新防衛大綱を踏まえた今後の防衛庁・自衛隊における取組の方向性などについて説明する。

 
自衛隊が活動している国際平和協力活動(本年5月末現在)


 
1)正式名称は「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成4年法律第79号)」
本節4参照

 
2)正式名称は「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成13年法律第113号)」
本節3参照

 
3)正式名称は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成15年法律第137号)」
本節2参照

 
4)「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱について」
2章2節参照

 
5)「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について」
2章2節参照


 

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