第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 

国際平和協力法1の概要など

 92(平成4)年6月に国際平和協力法が成立した。同法は、1)国連平和維持活動2、2)人道的な国際救援活動3及び3)国際的な選挙監視活動の三つの活動に対し適切かつ迅速な協力を行うための体制を整備し、もってわが国が国連を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与することを目的としている。
 また、同法では、国連平和維持隊への参加に当たっての基本方針(いわゆる参加5原則)が規定されている。
 なお、同法では、当初自衛隊の部隊による平和維持隊の本体業務4について、内外のより広い理解を得てから行うため、別に法律に定める日までの間は行わないこととし、いわゆる凍結されていた。他方、01(同13)年まで、防衛庁・自衛隊は平和維持隊の後方支援業務5など6回にわたる派遣を行い、着実に実績と経験を積み上げてきた。このような努力に対し、わが国として、さらに積極的に国際平和協力を行うべきとの国内外の期待が高まったことを受け、01(同13)年12月の国際平和協力法改正により6、凍結されていた平和維持隊本体業務への部隊参加が解除された。
 これまで、同法に基づき、自衛隊では、国連平和維持活動に対する協力としてカンボジア、モザンビーク、東ティモールへ部隊などを、また、人道的な国際救援活動に対する協力としてザイール(現コンゴ民主共和国)、インドネシア、パキスタン、ヨルダンへ部隊などを派遣してきた。また、国連平和維持活動に対する協力として、96(同8)年以来ゴラン高原へ部隊などの派遣を継続している。

 
国連平和維持隊への参加に当たっての基本方針(参加5原則)

 
自衛隊による国際平和協力業務


 
1)図表(国際平和協力活動関連法の総括的な比較)を参照

 
2)国連決議に基づき、武力紛争当事者間の武力紛争再発防止に関する合意の遵守の確保その他紛争に対処して国際の平和と安全を維持するために国連の統括の下に行われる活動

 
3)国連決議又はUNHCRなどの国際機関の要請に基づき、紛争による被災民の救援や被害の復旧のため、人道的精神に基づいて国連その他の国際機関又は各国が行う活動

 
4)1)武力紛争の停止の遵守状況、軍隊の再配置、撤退、武装解除の監視、2)緩衝地帯などにおける駐留、巡回、3)武器の搬入・搬出の検査、確認、4)放棄された武器の収集、保管、処分、5)紛争当事者が行う停戦線などの境界線の設定の援助、6)紛争当事者間の捕虜交換の援助をわが国は、「平和維持隊の本体業務」と呼んでいる。

 
5)本体業務を支援する医療、輸送、通信、建設などの業務を指す。

 
6)なお、この01(平成13)年の法改正においては、武器使用規定の改正も行われた。


 

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