第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 

テロ対策特措法と基本計画の概要

(1)テロ対策特措法1の概要
 テロ対策特措法は、わが国が国際的なテロリズムの防止と根絶のための国際社会の取組に積極的・主体的に寄与するため、次の事項を定めてわが国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的としている。

1) テロ攻撃の脅威の除去に努めることで国連憲章の目的達成に寄与する米国をはじめとする諸外国の軍隊などの活動に対してわが国が行う措置、その実施の手続きその他必要な事項
2) 国連決議や国連などの要請に基づき、わが国が人道的精神に基づいて行う措置、その実施の手続きその他必要な事項
 同法には、自衛隊が行う活動として1)協力支援活動2、2)捜索救助活動3、3)被災民救援活動4の3つの活動が定められている。このうち、協力支援活動(捜索救助活動の実施に伴い行う諸外国軍隊などに対する協力支援活動を含む。)として自衛隊が行う物品及び役務の提供の種類は、次表のとおりである。

 
協力支援活動として自衛隊が行う物品及び役務の提供

 また、同法は、施行の日から2年で効力を失うが、必要がある場合、別に法律で定めるところにより、2年以内の期間を定めて効力を延長することができるとされている限時法であり、03(同15)年11月1日で、その期限が切れることから、法律の延長について議論がなされた。政府は、「テロとの闘い」は続いているという基本的な情勢を踏まえ、国際テロの根絶に引き続き主体的に取り組む必要があると判断し、同年6月、法律の効力を更に2年間延長するテロ対策特措法の一部改正に関する法律案を提出、同法案は同年10月、可決成立した。

(2)基本計画の概要
 国際テロ活動を取り巻く状況を踏まえ、インド洋での各国の活動は3年以上にわたって行われている。政府は、このような各国の活動状況を踏まえ、わが国としての主体的な判断に基づき、昨年10月、派遣期間の延長と活動内容の一部変更5、さらに、本年4月に派遣期間の延長に関する7度目の基本計画の変更を行った。
 現在の基本計画の概要6は、次のとおりである。

ア 協力支援活動の実施に関する事項

(ア)協力支援活動の種類と内容

1) 補給(艦船による艦船用燃料など及び艦艇搭載ヘリコプター用燃料の艦船に対する補給)

2) 輸送(艦船による艦船用燃料などの輸送、航空機による人員・物品の輸送)

3) その他(修理と整備、医療、(国内での)港湾業務)

(イ)派遣期間
 01(同13)年11月20日〜05(同17)年11月1日

イ 捜索救助活動の実施に関する事項
 協力支援活動又は被災民救援活動を行う自衛隊の部隊などが遭難者を発見し、又は、遭難者の捜索救助を米軍などから依頼された場合には、インド洋とその上空に属する、協力支援活動、被災民救援活動を行う区域の範囲で捜索救助活動を行う。

ウ 被災民救援活動の実施に関する事項

(ア)被災民救援活動の種類と内容
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請に基づく、生活関連物資のUNHCRへの提供。

(イ)派遣期間
 01(平成13)年11月20日〜同年12月31日

 
テロリズム防止・根絶に向けた国際社会の取組への協力の枠組み


 
1)図表(国際平和協力活動関連法の総括的な比較)を参照

 
2) 諸外国の軍隊などへの物品・役務の提供、便宜の供与その他の措置であって、わが国が実施するものをいう。(同法第3条1)

 
3)諸外国の軍隊などの活動に際して行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者(戦闘参加者以外の遭難者があるときには、これを含む。)の捜索又は救助を行う活動であって、わが国が実施するものをいう。(同法第3条2)

 
4)テロ攻撃に関連する国連決議や国連などの要請に基づき、被害を受け又は受けるおそれがある住民など(被災民)を救援するため、人道的精神に基づいて行われる活動(食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の輸送、医療など)であって、我が国が実施するものをいう。(同法第3条3)

 
5)補給の効率性、具体的なニーズなどを踏まえて、わが国の主体的な判断として、艦艇搭載ヘリコプター用燃料及び水を「補給」の対象とする変更を行った。
これまでに、艦艇搭載ヘリコプター用燃料については、米国、イタリア、英国、パキスタン、水についてはパキスタンに対して補給を行っている。


 
6)5月末現在(本年4月22日、閣議決定)
資料44参照


 

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