Contents

第V部 防衛力を維持・強化するために必要な基盤や取組

8 その他の取組

1 自衛隊機・米軍機に対するレーザー照射や凧揚げによる妨害事案への対応

飛行中の自衛隊機や米軍機に対するレーザー照射や凧揚げによる妨害事案が発生している。これらは、パイロットの操縦を妨げるものであり、墜落などの大惨事をもたらしかねない大変危険で悪質な行為である。そのため、関係する地方公共団体の協力を得て、ポスターの掲示などにより、このような妨害行為の危険性などを周知するとともに、警察への通報についても協力を依頼している。

なお、2016年に航空法施行規則が改正され、このような妨害行為が規制対象とされるとともに、罰金などが科せられることとなった。

2 防衛施設の上空とその周辺における小型無人機などの飛行への対応

近年、民生用を含むドローンを用いたテロ事案やテロ未遂事案が各国で発生しており、それらの中には軍事施設を対象としたものも含まれている。わが国においても自衛隊の施設や在日米軍の施設・区域に対するドローンを用いたテロ攻撃が発生する可能性があることから、2019年、改正小型無人機等飛行禁止法が施行され、防衛大臣が指定する自衛隊の施設や在日米軍の施設・区域の上空とその周辺において、小型無人機などの飛行が禁止されることとなった。これにより、2025年4月1日現在、主要部隊司令部などが所在する306の自衛隊の施設と63の在日米軍施設・区域が対象施設に指定されている。

動画アイコンQRコード資料:小型無人機等飛行禁止法について
①自衛隊の対象防衛関係施設の一覧
URL:https://www.mod.go.jp/j/presiding/law/drone/list.html

QRコード②在日米軍の対象防衛関係施設の一覧
URL:https://www.mod.go.jp/j/presiding/law/drone/list_zaibeigun.html

3 重要土地等調査法13などに関する対応

防衛省は、2013年に策定された前国家安全保障戦略において、わが国の安全保障の観点から防衛施設周辺における土地利用などのあり方について検討することとされたことを踏まえ、2013年度から防衛施設に隣接する土地所有の状況について調査を行ってきた。

また、内閣府は、2022年に全面施行された重要土地等調査法に基づき、安全保障上重要な施設(重要施設14)の周辺や国境離島などを注視区域15や特別注視区域16として指定し、区域内の土地や建物の利用状況などの調査を行っている。この区域内の土地などが、重要施設や国境離島などの機能を阻害する行為(機能阻害行為)の用に供され、または供される明らかなおそれがあると認めるときは、土地などの利用者に対し、機能阻害行為の中止などの勧告・命令を行うこととされている。

防衛関係施設(自衛隊や在日米軍の施設)としては、これまでの公示では395か所の区域が指定されており、内閣府は、2024年12月に2023年度の区域内における土地などの取得状況を公表17している。

同法は、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点からも大きな意義があり、防衛省としては、内閣府と連携し、適切に対応していくこととしている。

4 水産物の消費拡大に向けた取組

2023年の東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS(アルプス)処理水18の海洋放出に伴い、中国などは、わが国の水産物の輸入規制強化などの措置を行った。これを受け、政府として、全国の水産業を支援するため、「水産業を守る」政策パッケージを示した。防衛省・自衛隊においても、わが国の水産物の消費拡大に積極的に取り組んでいる。

13 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律

14 防衛関係施設(自衛隊施設、在日米軍施設)、海上保安庁の施設、生活関連施設。

15 重要施設の周囲おおむね1,000メートルの区域内、国境離島などの区域内の区域で、その区域内にある土地、建物が機能阻害行為の用に供されることを特に防止する必要があるもの。

16 注視区域のうち、重要施設や国境離島などの機能が特に重要、またはその機能を阻害することが容易なものであって、ほかの重要施設や国境離島などによるその機能の代替が困難であるもの。

17 2023年度の区域内における土地などの取得総数は16,862筆個であり、そのうち外国人や外国系法人による取得は371筆個(総数の2.2%)。

18 東京電力福島第一原子力発電所で発生した放射性物質を含む汚染水について、トリチウム以外の放射性物質を、規制基準を満たすまで浄化した水。