2022年9月の防衛大臣指示に基づき、同年11月に「防衛省ハラスメント防止対策有識者会議」が設置された。有識者会議では、ハラスメント防止対策の抜本的見直しについて計8回の議論や各自衛隊への現地視察・隊員との意見交換、セクシュアル・ハラスメントの被害者である元陸上自衛官との意見交換を行い、後述するハラスメント防止の状況に関する特別防衛監察の結果なども踏まえて、2023年8月、防衛省に対し「ハラスメント防止対策の抜本的見直しに関する提言」を提出した。
提言では、防衛省・自衛隊として、ハラスメントを許容しない組織風土の醸成が未だ途上にあり、その努力も不十分であること、監督者(指揮官)のハラスメント対策にかかる責任が不明確、かつ責務の自覚が不足していることなどが指摘され、①予防対策、②事案対策、③事後対策に関し、防衛省が今後取り組むべき方策が示された。具体的には、定期的なトップメッセージの発出などによる組織風土の改革、教育の見直し、相談員などの資質向上、問題解決(懲戒処分)の迅速化、懲戒処分情報の周知などがあげられた。