防衛装備庁では、国際防衛装備品展示会への出展を実施し、わが国の防衛装備に関する施策や高い技術力を発信している。このような取組は、各国政府関係者などのわが国の装備政策や技術力に対する理解を深め、防衛装備・技術協力推進のための基盤の形成に寄与している。
2023年5月にマレーシアで開催された「LIMA 2023」においては、わが国の近隣諸国としての協調関係や、これまでの国際緊急援助活動の実績を基礎としたHA/DR分野での移転やわが国と同じインド太平洋地域における海洋国家としての輸送(海上・航空)、警戒監視分野での移転を目的とし、艦船やその構成品、航空機などを展示した。また、同年9月に英国で開催された「DSEI London 2023」においては、装備品の国際共同開発・生産が主流となっていることにかんがみ、完成品の移転のみならず、コンポーネント・部品の供給を通じた協力を積極的に進めるべきとの考えから、艦船や航空機などの構成品レベルやAI技術に関する展示により、技術力の高さを幅広くアピールした。
さらに、同年11月にオーストラリアで開催した「INDO PACIFIC 2023」では、艦船やその構成品、航空機、レーダー、衛星などの展示を通じ高い技術力などについて広く情報発信した。
INDO PACIFIC 2023におけるブースの様子
加えて、2024年2月にシンガポールで開催された「Singapore Airshow 2024」では、航空機の模型や構成品レベルの展示、その他関連素材などに関する展示を行い、各国政府・企業関係者との懇談などを通じて官民一体となった防衛装備移転推進へのコミットメントを国内外に示した。
Singapore Airshow 2024におけるブースの様子
装備品の海外移転について、防衛力整備計画では、政府が主導し、官民の一層の連携のもとに装備品の適切な海外移転を推進するとしている。
防衛装備庁、商社、製造企業の連携のもとで、相手国の潜在的なニーズを把握して提案に向けた活動を行う事業実現可能性調査を、2020年度から実施している。なお、この調査を通じ、2023年12月、わが国が有する防錆処理技術のベトナムへの移転が実現した。
また、わが国と相手国との間で、両国の防衛当局と企業が一堂に会して、装備品の海外移転に関する意見交換を行う官民防衛産業フォーラムを、2017年8月のインドネシアでの開催以降、インド、ベトナム、オーストラリア、イタリア、フィリピンを合わせた計6か国において実施している。
わが国国内においても、各国への海外移転に関する官民の知識向上を図る取組として、防衛装備移転に関するウェビナーを開催し、諸外国との民間ビジネス分野での事例や防衛装備・技術協力の現状を学ぶ機会を創出している。2020年から2022年においては、インド、ベトナム、マレーシアにおける商慣習に関するウェビナーを行った。また、2022年10月には装備品輸出実績が豊富な欧米諸国における装備品を輸出する側の制度や経験について、2023年12月には国際展示会を有効活用する方法についてウェビナーを行った。
さらに、かねてより防衛産業から要望が寄せられていた官民間での海外移転に関する情報共有の場として、2022年3月にWeb上にポータルサイトを整備し、海外移転を進める防衛関連企業を対象として、各国の調達制度やわが国の防衛装備移転制度などの情報提供を行っている。
国際的な防衛装備・技術協力の推進にあたっては、装備品にかかる重要技術の流出を防ぐため、防衛産業保全の強化、機微技術・知的財産管理の強化に取り組んでいくこととしている。
参照1節1項2(3)(装備品等秘密の保全)、1節2項4(防衛産業保全の強化)、1節2項5(機微技術管理の強化)
資料:防衛装備庁が防衛装備・技術協力の推進のため海外に発信しているリファレンスガイドなど
URL:https://www.mod.go.jp/atla/en/policy/defense_equipment.html#guides_and_movies