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第III部 防衛目標を実現するための3つのアプローチ

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第3節 国際平和協力活動への取組

1 国際平和協力活動の枠組みなど

1 国際平和協力活動の枠組み

防衛省・自衛隊は、外交活動とも連携しつつ、国際平和協力活動などに積極的に取り組んでいる。

防衛省・自衛隊が本来任務1として行う国際平和協力活動には、国連平和維持活動(国連PKO(Peacekeeping Operations))への協力をはじめとする国際平和協力業務、海外の大規模な災害に対応する国際緊急援助活動、国際平和共同対処事態に際しての協力支援活動などがある。

参照図表III-3-3-1(自衛隊による国際平和協力活動)、II部5章5項(国際社会の平和と安定への貢献に関する枠組み)資料10(自衛隊の主な行動の要件(国会承認含む)と武器使用権限など)資料12(国際平和協力活動関連法の概要比較)資料60(自衛隊が行った国際平和協力活動など)

図表III-3-3-1 自衛隊による国際平和協力活動

2 国際平和協力活動を迅速、的確に行うための平素からの取組

自衛隊が国際平和協力活動に積極的に取り組むためには、平素から各種体制の整備を進めることが重要である。このため、陸・海・空自がともに、派遣待機部隊などを指定し、常続的に待機態勢を維持している。また、国連本部が各国のPKO派遣にかかる準備状況を具体的に把握するための国連平和維持活動即応能力登録制度(PCRS:UN Peacekeeping Capability Readiness System)に施設部隊や司令部要員などのほか、C-2輸送機やC-130H輸送機を登録している。

国際平和協力活動などにおいて、人員・部隊の安全を確保し、任務を遂行するため、自衛隊は、派遣先での情報収集能力や防護能力の強化も進めている。さらに、多様な任務環境や任務の長期化に対応するため、輸送展開能力や情報通信能力の向上、円滑かつ持続的な活動のための補給や衛生の体制整備にも取り組んでいる。

国際平和協力活動に従事するうえで必要な教育については、陸上総隊隷下の国際活動教育隊において、派遣前の陸自要員の育成、訓練支援などを行っている。また、統合幕僚学校の国際平和協力センターでは、国際平和協力活動などに関する基礎的な講習を行うとともに、国連PKOなどにおける派遣国部隊指揮官や派遣ミッション司令部幕僚要員を養成するための専門的な教育を国連標準の教材や外国人講師も活用して行っている。同センターでは、多様化・複雑化する国際平和協力活動の実態を踏まえ、関係省庁職員、外国軍人に対する教育も行い、連携・協力の促進や、より効果的な国際平和協力活動に資することを目指している。

3 派遣部隊に対する福利厚生やメンタルヘルス施策

防衛省・自衛隊では、任務に従事する隊員や隊員家族の不安を軽減するよう、各種家族支援施策、派遣部隊に対するメンタルヘルス施策を実施している。派遣部隊隊員に対しては、①ストレス軽減に必要な知識を与えるための派遣前教育、②派遣前・派遣中・帰国後などの各段階に応じたメンタルヘルスチェック、③メンタルヘルス要員などによる派遣中の隊員の不安や悩みなどの相談へのカウンセリング、④派遣中の隊員に対し、専門的知識を有する医官を中心としたメンタルヘルス診療支援チームの派遣、⑤帰国に際してのストレス軽減のための帰国前教育、⑥帰国後の臨時健康診断など、派遣部隊の特性に応じて必要な施策を実施している。

1 自衛隊法第3条に規定される「主たる任務」と「従たる任務」を合わせたもの。「主たる任務」は、わが国の防衛であり、「従たる任務」は、公共の秩序の維持、重要影響事態に対応して行う活動および国際平和協力活動である。