Contents

コラム

防衛白書トップ > コラム > <VOICE>安全保障技術研究推進制度を活用した研究に取り組む研究者の声

<VOICE>安全保障技術研究推進制度を活用した研究に取り組む研究者の声

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 航空技術部門 構造・複合材技術研究ユニット
研究領域主幹 森本 哲也(もりもと てつや)

私達のグループでは、接着剤の結合現象を分子レベルで「見える化」する研究に取り組んでいます。軽量化への要求が厳しい航空機では、軽くて丈夫な炭素繊維をプラスチックで固めたカーボンコンポジット(CFRP)製部材の接着による組み立てが多用されます。しかし、現状の技術水準では、接着不良やばらつきを考慮した贅肉の多い設計手法に頼らざるを得ないため、CFRPのポテンシャルを十分に発揮させることが出来ずにいました。そこで、バイオテクノロジー分野や燃料電池の開発で用いられている「走査型電気化学顕微鏡」を導入し、接着力分布の可視化に初めて成功しました。これを発展させれば、接着不良やばらつきを解消することができ、CFRPのポテンシャルをフルに活用した未来の航空機が実現します。研究をスタートしてから2年が経過しましたが、プログラムオフィサーより技術的なコメントやアドバイスを頂くだけではなく、他のグループとの異分野交流の機会も設けていただき、研究上のヒントやアイデアを得る重要な場となっています。また、博士課程の学生やポスドクなどの、身分が不安定になりがちな若い研究者達に安定した給与を支払うことが出来る制度設計になっている点でも、前向きな力を得ています。

試験実施中の著者(研究代表者)

試験実施中の著者(研究代表者)