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<VOICE>安全保障技術研究推進制度への応募について

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 海洋工学センター
主任技術研究員 澤 隆雄(さわ たかお)

弊所は平和と福祉の理念に基づき、海洋に関する基盤的研究開発と学術研究に関する協力等を実施する、文部科学省所管の組織です。

デュアル・ユースを想定した本制度は、その募集要項には「研究成果が広く民生分野で活用されることも期待します。」や「知的財産は所定の条件の下で委託先に帰属させることを可能としています。」など明記されておりました。これは他の競争的研究資金と同様に、研究実施側である弊所の利益・権利が約束されています。研究費の確保は研究者として最重要である事はもちろん、将来を見据えて他機関と協力関係を築く事も研究に欠かせないことである事から、応募に至りました。

私が実施している「光電子増倍管を用いた適応型水中光無線通信の研究」は、光を用いて水中での高速無線通信を目指す技術です。スマートフォンで動画を見る際などに大量のデータ通信が行われますが、それを電波の通じない水中でも実現することを目指します。海洋試験において、水中通信の確認には観測用の水中ロボットや計測装置を活用します。水中はしばしば濁って光が通りにくくなるため、最適な発光色を選びつつ、高感度の光電子増倍管などによりこれを実現します。

本研究の試験装置と筆者(研究代表者)

本研究の試験装置と筆者(研究代表者)