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<解説>東シナ海における警戒監視任務における緊迫感

わが国は、約6,800の島嶼を抱え、世界第6位の領海・排他的経済水域を持つ海洋国家です。わが国周辺の海空域における各種事態に対し迅速かつシームレスに対応するため、防衛省・自衛隊の艦艇・航空機は、平素から警戒監視活動を行っています。特に東シナ海では、既存の国際法秩序とは相いれない独自の主張に基づき、自国の権利を一方的に主張し行動する事例が多く見られるようになっており、護衛艦などによる常時継続的な警戒監視の必要性が高まっています。

<VOICE>

海幕人事教育部厚生課
厚生課長 1等海佐 西脇 匡史(にしわき まさふみ)(元第12護衛隊司令)

海自は、わが国周辺海域を航行する外国軍艦などに対する警戒監視を24時間態勢で行っています。一方、外国軍艦などがどのような目的で、いつ、どのルートで、どの程度の期間、わが国周辺海域を航行するのかは予測が困難なため、警戒監視に従事する乗員には肉体的にも精神的にも大きな負担を強いることになります。

具体的には、ゴールデンウィークや年末年始でも、急きょ、休暇を取り止め、母港から出港することがあります。また、特に東シナ海においては、事態をエスカレーションさせないために、艦艇の動きのみならず、レーダーや武器などの操作にも細心の注意を払う必要があり、一時も気を抜くことは許されません。さらに、警戒監視が長期間に及ぶ場合には、野菜などの生鮮食料品が底を突くこともあります。

このことから、現場の指揮官は、警戒監視中も適度の休養や運動などの機会を与えることにより、乗員のストレスを少しでも軽減させることに特に気を配っています。

艦橋上部にて指揮を執る筆者(右端)

艦橋上部にて指揮を執る筆者(右端)