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<解説>沖縄本土復帰後最大の返還

北部訓練場は、沖縄県最大の在日米軍施設・区域で、1996(平成8)年12月のSACO最終報告において、訓練場内にヘリパッドを移設することを条件に、その過半、約4,000ヘクタールを返還することに合意しました。

このヘリパッドの移設工事においては、自然環境の保全にできる限り配慮するため、法令上義務づけられたものではありませんでしたが、自主的に環境影響評価を実施しました。その結果を踏まえ、ヘリパッドの規模の縮小、工事の際に集落をできる限り避けた経路での資機材の搬入、また、ノグチゲラなどの貴重な鳥類の繁殖時期には土工事を行わないようにするなど、環境の保全に最大限配慮しながら工事を進めてきました。そして、SACO最終報告から20年の時を経た16(同28)年12月、ついにヘリパッドの移設が実現したことから、北部訓練場の過半、約4,000ヘクタールの返還が実現しました。

この北部訓練場のある沖縄本島北部のやんばる地域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がる、ヤンバルクイナやノグチゲラの多種多様な固有動植物が生息・生育する地域です。16(同28)年9月には、やんばる国立公園が新たに指定され、17(同29)年1月には、世界自然遺産への推薦が決定されています。地元の国頭村(くにがみそん)及び東村(ひがしそん)は、返還された土地のやんばる国立公園への編入や、世界自然遺産への登録を目指しており、政府としては、できる限り早期の土地の引き渡しに向けて、土壌汚染調査など、跡地利用をする上での支障の除去に関する措置を講じているところです。

現在予定されている土地の返還が終了することにより、米軍の施設・区域は、沖縄県の本土復帰直前に比べ、半分程度となる予定です。日米両政府は、跡地利用を通じた沖縄全体の発展に寄与するためにも、更に土地の返還を進めていきます。

ヘリパッドの移設の説明図