米国は、100年以上にわたって、太平洋国家であり続けてきました。21世紀の今日、アジア太平洋地域は世界経済の成長の中心であり、また同時に、北朝鮮の核・ミサイル問題など、さまざまな安全保障上の課題が存在する地域でもあります。米国の国益は、この地域の平和と安定とますます密接に関わっています。日本は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を米国と共有する経済大国であり、また、米軍との緊密な協力関係を長年にわたり築いてきた精強な自衛隊を擁することから、米国にとって、非常に重要なパートナーです。
日米同盟により可能となっている米軍の日本における駐留によって、米国は、この地域で万が一紛争が起こった場合には、米軍の部隊が米国本土から駆けつけるのに比べ、より迅速に地域内に部隊を展開して対応に当たらせることができます。また、日本における米軍施設は、米国本土からの来援兵力の受入の基盤となります。さらに、米側は、日本への駐留によって、日頃から、同盟国・友好国の軍隊との訓練、地域諸国との防衛交流や協力、災害救援など、地域の安定化に寄与する様々な活動を、米国本土をその起点とする場合に比べ、より効率的に行うことができます。このように、日米同盟は、アジア太平洋の平和と繁栄の礎として、地域の安全保障環境の安定化に寄与し、そのことで、日米双方の国益の増進にも大きな役割を果たしています。日米同盟は、日米いずれかのみが利益を享受するような枠組みではないのです。
17(平成29)年1月の米国新政権の発足後、非常に早い段階でマティス新国防長官が訪日し稲田防衛大臣と防衛相会談を行ったこと、さらに、トランプ大統領が安倍内閣総理大臣との首脳会談を行ったことは、米国新政権としても日本を重視していることの表れです。わが国の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟は今、かつてないほど強固なものとなっています。引き続き、日米双方の利益を増進するよう、米国新政権との信頼関係の上に、揺るぎない日米同盟の絆を更に確固たるものにし、日米同盟の抑止力・対処力を強化していくことが重要です。