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第II部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟

2 国際平和支援法の概要

国際平和支援法は、国際社会の平和及び安全の確保のため、国際平和共同対処事態(国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国連憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、わが国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの)に際し、わが国が国際社会の平和と安全のために活動する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことができるよう、新たに制定された法律である。

1 要件

わが国が行う協力支援活動等の対象となる諸外国の軍隊等の活動について、以下のいずれかの国連決議(総会又は安全保障理事会)の存在を要件としている。

① 支援対象となる外国が国際社会の平和及び安全を脅かす事態に対処するための活動を行うことを決定、要請、勧告、又は認める決議

② ①のほか、当該事態が平和に対する脅威又は平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国連加盟国の取組を求める決議

2 対応措置

国際平和共同対処事態に際し、以下の対応措置を実施することができる。

① 協力支援活動

諸外国の軍隊等に対する物品及び役務(補給、輸送、修理・整備、医療、通信、空港・港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用、訓練業務及び建設)の提供を実施。なお、重要影響事態安全確保法と同様、武器の提供は行わないものの、「弾薬の提供」と「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を実施できることとしている。

② 捜索救助活動

③ 船舶検査活動(船舶検査活動法に規定するもの)

3 武力行使との一体化に対する回避措置等

他国の武力の行使との一体化を回避するとともに、自衛隊員の安全を確保するため、以下の措置を規定。

① 「現に戦闘行為が行われている現場」では実施しない。ただし、遭難者が既に発見され、救助を開始しているときは、部隊等の安全が確保される限り当該遭難者にかかる捜索救助活動を継続できる。

② 自衛隊の部隊等の長等は、活動の実施場所又はその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合、又はそれが予測される場合には一時休止等を行う。

③ 防衛大臣は実施区域を指定し、その区域の全部又は一部において、活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合等には、速やかにその指定を変更し、又は、そこで実施されている活動の中断を命じなければならない。

4 国会承認

事前の国会承認については例外なく求め、各議院の議決に7日以内(国会の休会中の期間を除く。)の努力義務を設けた。また、対応措置の開始から2年を超える場合には再承認が必要とした。