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<VOICE>初の多国籍部隊司令官に就任するにあたって

第4護衛隊群司令 海将補 伊藤 弘(いとう ひろし)

海賊行為は、海上における公共の安全と秩序の維持に対する重大な脅威です。特に、国家の生存と繁栄の基盤である資源や食料の多くを海上輸送に依存しているわが国にとっては看過できない問題です。ソマリア沖・アデン湾においては、国際社会の努力によって海賊行為の発生件数は減少しているものの、その根絶には至っておらず、引き続き国際社会、特に関係各国海軍と緊密な連携のもと対応していく必要があります。平成21年以降、海上自衛隊は海賊対処に取り組んできましたが、戦後70年の節目を迎える今年、わが国政府は、積極的平和主義の観点から海賊対処にかかる多国籍部隊司令部に司令官および司令部要員を派遣することとしました。今回、海上自衛官が司令官を務める第151連合任務部隊(CTF151)は、部隊のみならず、その司令部も約半数が諸外国海軍からの派遣要員で構成されています。我々日本人は、古来から他者の人格を尊重し、多様性を甘受する「和をもって貴しとなす」という精神を有しています。この「日本人らしさ」を十分に生かして、様々な部隊・パートナーと連携しながら、それぞれの有する能力の効率的な発揮を図る所存です。

海上自衛隊は、世界でもトップクラスの海上防衛力を有するまでに成長しました。そのような秀でた能力を有する国家は、国際社会の責任ある構成員として、相応の責任が求められます。海上自衛隊は、今回の任務の完遂に努めるとともに、引き続き国際社会の平和と安定により一層貢献していきます。

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CTF151司令官を務めたニュージーランド海軍准将と
意見交換する筆者(右側)