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<解説>陸上自衛隊創隊以来の大改革

25大綱に基づく統合機動防衛力の構築のため、陸上自衛隊は実に壮大な改革に取り組んでいる。その目指すところは、厳しさを増す安全保障環境に即応し、事態に切れ目なく機動的に対処し得る陸上防衛力の構築である。これを実現するため、島嶼部に対する攻撃への対応を特に重視している。これは、平素からの「部隊配置」、侵攻阻止に必要な部隊の「機動展開」、島嶼部に侵攻された場合の「奪回」の3段階から成っている。「部隊配置」は、南西地域に沿岸監視部隊や警備部隊を配備すること、「機動展開」は、全国の師団・旅団の約半数を高い機動力や警戒監視能力を備えた機動運用を基本とする機動師団・旅団に改編すること、そして、「奪回」は、本格的な水陸両用作戦を実施し得る水陸機動団を新編することが計画されている。これらの部隊には機動戦闘車、水陸両用車、オスプレイ(V-22)などが導入される。

さらに、全国の陸自部隊を一元的に運用し、海・空自部隊との統合運用や米軍との日米共同の実効性を向上するため、現在の5個方面隊の運用を束ねる統一司令部として陸上総隊を新編する(陸上総隊司令部を平成29年度に朝霞駐屯地内に新編予定)。あわせて、教育・訓練・研究機能を一体化し、これら3つをスピード感をもってスパイラル的に融合し、将来にわたり改革を継続し得る体制を整備する。

これらの取組の具現にあたっては、従来にない隊員の大規模な全国異動を必要とし、総じてこの大改革は、組織改革や制度改革のみならず、隊員個人の覚悟に至る意識改革までもが包含される、壮大かつ広範に及ぶものであり、陸上自衛隊は一丸となってこの創隊以来の大改革に取り組んでいる。

陸上自衛隊員の画像

水陸両用訓練に臨む陸上自衛隊員