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第II部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟

2 平和安全法制整備法案の概要

15(平成27)年5月14日に閣議決定し、国会に提出した平和安全法制整備法案の概要は、以下のとおりである。

参照資料6(我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案要綱)

1 自衛隊法の改正

自衛隊法の主な改正事項として、防衛出動に関する規定の整備(後述)、在外邦人等の保護措置や米軍等の部隊の武器等の防護についての規定の新設、平時における米軍に対する物品役務の提供の拡大、国外犯処罰規定の新設を法案に盛り込んでいる。

参照図表II-1-3-2(在外邦人等の保護措置の概要)、図表II-1-3-3(米軍等の部隊の武器等の防護のための武器の使用)、図表II-1-3-4(米軍に対する物品役務の提供など)

図表II-1-3-2 在外邦人等の保護措置

図表II-1-3-3 米軍等の部隊の武器等の防護のための武器の使用

図表II-1-3-4 米軍に対する物品役務の提供など

2 重要影響事態安全確保法(周辺事態安全確保法の改正)

周辺事態安全確保法の主な改正事項として、事態の定義から「我が国周辺の地域における」を削除するとともに、名称を「重要影響事態」とする4ことを含め目的規定を見直すこと、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍その他の外国の軍隊などを支援対象とすること、支援メニューを拡大することを法案に盛り込んでいる。

参照図表II-1-3-5(重要影響事態安全確保法(周辺事態安全確保法の改正))

図表II-1-3-5 重要影響事態安全確保法(周辺事態安全確保法の改正)

3 船舶検査活動法の改正

船舶検査活動法の主な改正事項として、周辺事態安全確保法の見直しにともなう改正、国際平和支援法に規定する国際平和共同対処事態5における船舶検査活動についての規定の新設などを法案に盛り込んでいる。

参照図表II-1-3-6(船舶検査活動法の改正)

図表II-1-3-6 船舶検査活動法の改正

4 国際平和協力法の改正

国際平和協力法の主な改正事項として、国連PKO(UN Peacekeeping Operations)などにおいて実施できる業務の拡充(いわゆる安全確保業務やいわゆる駆け付け警護など)、武器使用権限の見直し、国連が統括しない人道復興支援やいわゆる安全確保などの活動(国際連携平和安全活動)についての規定の新設を法案に盛り込んでいる。

参照図表II-1-3-7(国際平和協力法の改正)

図表II-1-3-7 国際平和協力法の改正

5 事態対処法制などの改正

武力攻撃事態対処法などの事態対処法制および自衛隊法の主な改正事項として、以下の事項を法案に盛り込んでいる。

○存立危機事態の名称、定義6、手続などの整備(事態対処法)7

○存立危機事態に対処する自衛隊の任務としての位置付け、行動、権限などの整備(自衛隊法)

○武力攻撃事態等に対処する米軍に加えて、

・武力攻撃事態等における米軍以外の外国軍隊

・存立危機事態における米軍その他の外国軍隊に対する支援活動を追加(米軍等行動関連措置法)

○武力攻撃事態等における米軍以外の外国軍隊の行動を特定公共施設等の利用調整対象に追加(特定公共施設利用法)

○存立危機事態における海上輸送規制の実施(海上輸送規制法)

○存立危機事態における捕虜取扱い法の適用(捕虜取扱い法)

参照図表II-1-3-8(事態対処法の改正)、図表II-1-3-9(自衛隊法の改正(存立危機事態関連))、図表II-1-3-10(関連法制の改正)

図表II-1-3-8 事態対処法の改正

図表II-1-3-9 自衛隊法の改正(存立危機事態関連)

図表II-1-3-10 関連法制の改正

安倍内閣総理大臣の画像

衆議院本会議で答弁中の安倍内閣総理大臣

6 国家安全保障会議設置法の改正

国家安全保障会議設置法の主な改正事項として、今般の法改正などを踏まえた審議事項の追加を法案に盛り込んでいる。

参照図表II-1-3-11(国家安全保障会議設置法の改正)

図表II-1-3-11 国家安全保障会議設置法の改正

4 周辺事態を重要影響事態とすることにともない、法律の題名を「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」から「重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」に改正。

5 国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの

6 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態

7 存立危機事態においても適用することにともない、法律の題名を「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」から「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に改正。