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第II部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟

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第3節 平和安全法制などの整備

1 検討の経緯と「閣議決定」の概要

1 検討の経緯

わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、安倍内閣総理大臣は13(平成25)年2月、第1次安倍内閣において開催されていた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」1を再開し、わが国の平和と安全を維持するために、日米安全保障体制の最も効果的な運用を含めて、何をなすべきか、過去4年半の変化を念頭に置き、また将来見通し得る安全保障環境の変化にも留意して、安全保障の法的基盤について再度検討するよう指示した。合計7回の会合を経て、14(同26)年5月、報告書が安倍内閣総理大臣に提出された。

同懇談会からの報告書を受け、安倍内閣総理大臣が示した検討の進め方についての基本的方向性に基づき、与党における協議と政府における検討が進められ、14(同26)年7月、政府として「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の閣議決定(「閣議決定」)を行った。これは、新たな安全保障法制の整備のための基本方針を示すものであり、抑止力の向上と地域および国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを通じて、わが国の平和と安全を一層確かなものにしていくうえで、歴史的な重要性を持つものである。

2 「閣議決定」の概要

「閣議決定」は、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」のもと、国際社会の平和と安定にこれまで以上に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならないとしたうえで、武力攻撃に至らない侵害への対処、国際社会の平和と安定への一層の貢献、憲法第9条のもとで許容される自衛の措置について、参照のとおり基本方針を示した。

参照図表II-1-3-1(「閣議決定」の概要)、資料5(国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について)

図表II-1-3-1 「閣議決定」の概要

3 法整備の検討

「閣議決定」に際し、安倍内閣総理大臣から、安全保障法制の整備に向け、直ちに作業に着手するよう指示がなされた。これを踏まえ、内閣官房国家安全保障局のもとに法案作成チームが立ち上げられたほか、防衛省・自衛隊としても、国民が期待する役割をしっかりと果たせるよう、防衛大臣を委員長とする「安全保障法制整備検討委員会」を設置し、安全保障法制の整備に向けた検討を行ってきた。

こうした政府における検討は、与党における協議を踏まえて行われた。14(同26)年5月以降、与党における協議は計25回開催され、その中で15(同27)年3月20日には「安全保障法制整備の具体的な方向性について」が示された。与党におけるさらなる議論を踏まえつつ、政府として検討を行い、同年5月14日、平和安全法制整備法案2および国際平和支援法案3の2法案を閣議決定し、翌15日に第189回国会(常会)へ提出した。同月19日には、これらの法案を審議するため、衆議院において我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会の設置が議決された。

「安全保障法制整備検討委員会」の画像

「安全保障法制整備検討委員会」の様子

参照巻末資料3(「平和安全法制」の主要事項の関係)

1 07(平成19)年5月、08(同20)年6月に福田内閣総理大臣(当時)に報告書を提出した。同報告書では、4つの類型(①公海における米艦防護、②米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃、③国際的な平和活動における武器使用、④同じPKOなどに参加している他国の活動に対する後方支援)について検討し、これまでの政府の解釈は、激変した国際情勢およびわが国の国際的地位に照らせばもはや妥当しなくなってきており、むしろ、憲法第9条は、個別的自衛権はもとより、集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではないと解釈すべき旨などが提言された。

2 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案

3 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案