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<解説>「2波長赤外線センサ」の紹介

情報化が進んだ現代においては、情報収集能力の優劣がそのまま戦いの優劣に直結すると言われ、その情報収集を実際に行うセンサ/情報収集装置は、ますます重要な役割を担っている。なかでも、赤外線センサは熱を検知するため、昼夜を問わない使用が可能となり、様々な対象物の探知に有効である。自衛隊においても捜索・追尾装置、警戒監視装置、ミサイル誘導装置、火器管制システムなどの各種装備品に使用されている。

赤外線センサは、細かな部分まで認識できる高精細な赤外線画像を得るために多画素化が図られている。一方で、異なった赤外線の波長帯で画像を取得することにより、対象物からの情報量を増やし、目標抽出や識別能力を向上させる取組も進められている。

防衛省で研究開発を進めている2波長赤外線センサは、1024×1024画素のハイビジョン相当の赤外線画像を、中赤外線および遠赤外線の2つの赤外線の波長帯で同時に撮像することを可能とするものである。検知素子にはわが国が得意とする半導体技術を活かして国産が可能な量子ドット型赤外線センサを選定し、この素子を用いて多画素、高精細な2波長赤外線センサを世界で初めて実現した。

2波長を有することにより様々な使用環境に適した画像取得や高度な目標の抽出・識別が期待される。また、安心/安全(防災・警備・監視)や衝突防止(車載・ロボット)などのデュアルユース技術として、民生分野への展開も可能となる技術である。

高精細2波長センサ部の画像

高精細2波長センサ部(1024×1024画素)

画像処理による小型船の視認の画像

2つの赤外波長画像の画像処理による小型船の視認