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<VOICE>化学兵器禁止機関(OPCW)での勤務について

化学兵器禁止機関(OPCW)(オランダ王国ハーグ市)
査察局長(第1期:97(平成9)年~02(同14)年、第2期:04(同16)年~09(同21)年)
元陸将補
秋山 一郎(あきやま いちろう)

OPCWは、化学兵器などの廃棄の進捗状況を、加盟国の申告と査察局の査察を通じて監視しています。初代査察局長としての第1期目は、57か国230名の部下とともに、査察業務を軌道に乗せ、また、第2期目においては、形骸化しつつあった業務の刷新のため半数近い要員交代を行いました。いずれも大変な仕事でした。

退任時は、事務局長から「その誠実さと有能さに恩を感じる」という身に余る賛辞を頂き、また、13(同25)年12月、OPCWがノーベル平和賞を授賞した際には授賞式典に列席する栄誉も賜りました。図らずも、安倍内閣総理大臣の提唱する「積極的平和主義」の一端を担わせて頂けたと自負しております。

陸自からの派遣要員を含む邦人職員の能力や献身的な努力は、OPCWにおいて高く評価されております。これは、語学教育、化学物質の合成・分析や国内外の老朽化した化学兵器処理の実務を通じ、陸自が平素から人材育成を実施している成果の一つであり、国民の皆様にも是非知って頂きたいと思います。

安倍内閣総理大臣を表敬訪問する筆者の画像

13(同25)年11月28日、OPCWのノーベル平和賞受賞式出席前に安倍内閣総理大臣を表敬訪問する筆者【内閣広報室】

化学兵器禁止機関(OPCW)(オランダ王国ハーグ市)査察員 1等陸尉
清野 慎太朗(せいの しんたろう)

シリアでは140mmロケット砲弾による有毒化学剤の攻撃により、幼い子供を含む多数の被害者が発生しています。OPCWの査察員としての私の任務は、化学兵器廃棄施設などの現場においての化学兵器の廃棄の監視や、化学兵器の数の確認です。現地では非常に暑く過酷な環境下での活動となりますが、これまでの陸自での教育と勤務経験を活かし、化学兵器全廃に向けて粉骨砕身、貢献していきたいと思います。

筆者の画像

OPCW本部(背面のシンボルはOPCWロゴ)にて(筆者)