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<VOICE>防衛大学校卒業生のネットワーク

タイ王国 海軍特別顧問 海軍大将
タナラット・ウボン(Admiral Tanarat Ubol)

社会がグローバル化し、人や情報が自由に行き交う一方、災害やテロなどの新たな脅威に対する国際協力が求められています。

地震や洪水のほか、最近ではマレーシアにおける航空機捜索のために多くの国が艦船や航空機を派遣しました。

こうした共同オペレーションでは、各国間の効果的な調整が欠かせませんが、特にアジアの国々では、個人的な人脈が時として大きな役割を果たします。

私は、タイ政府が公式に派遣した最初の留学生として、75(昭和50)年から4年間、防衛大学校で本科第23期生として学びました。当時、留学生は他にシンガポールからだけでしたが、今では、150名を超える同窓生がタイの陸海空軍で活躍しています。バンコクで毎年開かれる同窓会の最後に元留学生全員が防衛大学校学生歌を熱唱する姿は、知らない人には驚きかもしれません。

国あるいは軍どうしの調整において、防衛大学校卒業生のネットワークは大変役に立っています。たとえ初対面でも、同窓生だと簡単に調整は進みます。

今、防衛大学校はASEAN各国から留学生を受け入れていますが、これは将来、ASEAN共同体における協力促進の大きな弾みとなるでしょう。

留学生は皆、防衛大学校の教育訓練を通じ、優れた軍人に育てられますが、さらに、各自衛隊の教育機関などで職種の専門分野について学ぶ機会があれば、高級幹部のための教育課程に至る一連のキャリア・パスが築かれ、防衛大学校ネットワークはいっそう強まるでしょう。

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シンガポールInformation Fusion Center職員である元防大留学生の訪問を受け、意見交換する筆者(右端)