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<VOICE>多国間共同訓練(コブラ・ゴールド)とODAとの連携について

防衛省・自衛隊は、タイで毎年開催される多国間共同訓練(コブラ・ゴールド)に参加し、自衛隊の統合運用能力、各種技能および多国間調整能力の向上に積極的に取り組んでいる。「コブラ・ゴールド14」において、自衛隊は、訓練では初の試みとなる政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)と連携した活動を実施した。

訓練では、自衛隊医療チーム5名がタイの農村地域住民への医療提供や健康相談を実施し、外務省(在タイ日本国大使館)は、これと連携して、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」により、ベッドや薬品棚を備えた保健施設を3つの小学校に供与することを決定し、タイの福祉向上に目に見える形で貢献することができた。

今後も、医療支援などの民生分野で防衛省・自衛隊と外務省が平素から緊密に連携し、それぞれの国際貢献スキームの組み合わせによる相乗効果を発揮することによって、国際協力をさらに効果的なものにしていくことが期待される。

見取図の贈呈の画像

佐藤駐タイ日本大使からタイ教育省への保健施設完成見取図の贈呈

自衛隊医官の画像

地元住民を診察する自衛隊医官

在タイ日本国大使館 政務部専門調査員
木場 紗綾(きば さや)

今回の「コブラ・ゴールド14」に先立ち、訓練会場となった現地小学校から在タイ日本国大使館に対し、「訓練終了後も住民が継続して使用できる保健施設を支援してほしい」との要請がありました。大使館はこれを受けて現地調査を行うとともに、タイ国軍や米軍から公衆衛生のデータを提供してもらうなどの調整を経て、地域の基礎医療充実のため、保健施設を供与することを決定しました。「コブラ・ゴールド14」の訓練期間中、この小学校において自衛隊医療チームによる衛生教育と診療が行われ、佐藤駐タイ大使が保健施設の着工式に出席しました。

自衛隊とODAの連携は、これまでイラク、ハイチ、東ティモール、南スーダンなどの国際平和協力活動の現場ですでに実践されてきました。

本件は、平時(訓練時)においても自衛隊と大使館が調整や連携を通じて日本の国際協力の相乗効果を追求した試みであり、今回の連携は、外務省側にとっても、自衛隊の国際平和協力活動に対する認識を深める貴重な機会となりました。また、自衛隊にとっても経済協力への理解を深める貴重な場となったと思います。