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<VOICE>ADMMプラス人道支援・災害救援(HA/DR)、防衛医学(MM)実動演習

市ヶ谷駐屯地(東京都 新宿区)
統合幕僚監部 首席後方補給官付後方補給官(衛生) 1等陸佐
松下 芳太郎(まつした よしたろう)

私は、13(平成25)年6月に実施された拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が主催する実動演習に参加しました。

今回の演習は、災害時には救援活動とともに医療支援活動が必要となることを踏まえ、人道支援・災害救援専門家会合(HA/DR1EWG2)と防衛医学専門家会合(MM3 EWG)の共同訓練として議長国のブルネイで実施されました。シナリオは巨大台風による被災国の要請を受け、各国の医療チームを含む救援部隊が集結し活動を行うものです。日本からは艦艇、航空機、回転翼機、医療チームが参加しました。

災害時の救援活動においては被災国のニーズに合った支援が必要となりますが、そこで重要となってくるのが多国間調整所(MNCC4)です。私は今回の演習にMNCCの日本側のリーダーとして参加しました。私の任務は、被災地域から上がってきた様々なニーズの受入窓口をMNCCに一元化し、そこで各国軍の代表と調整し、救援部隊を適時・適切に振り分け、効果的な支援活動に結びつけていくものでした。この際、役に立ったのが、医療分野の標準作業手順(SOP5)でした。これはADMMプラスの防衛医学の共同議長国として、日本とシンガポールが中心となり、参加各国と共に作成したものです。演習では各国がこのSOPに従って被災民の治療・後送を行い、このSOPの検証をすることが出来ました。伝統・文化の違いを超えてSOPを作成し、それを検証できたことは意義深く、今後の国際救援活動に大いに役立っていくと思います。また、この演習を通じて、各国軍との交流が図られ、信頼醸成に寄与することができました。

陸自衛生科隊員の画像

インドネシア医官と治療方針について話し合う陸自衛生科隊員

治療活動の画像

日本、ブルネイ、インドネシア三か国の隊員による治療活動

1 HA/DR(Humanitarian Assistance/ Disaster Relief):人道支援・災害救援

2 EWG(Experts’ Working Group):専門家会合

3 MM(Military Medicine):防衛医学

4 MNCC(Multi-National Coordination Center):多国間調整所

5 SOP(Standard Operating Procedure):標準作業手順