Contents

コラム

防衛白書トップ > コラム > <VOICE>台風第26号にともなう行方不明者捜索にかかる災害派遣(ツバキ救出作戦)に参加して

<VOICE>台風第26号にともなう行方不明者捜索にかかる災害派遣(ツバキ救出作戦)に参加して

陸自練馬駐屯地(東京都 練馬区)
第1普通科連隊 副連隊長 2等陸佐
亀山 淳(かめやま じゅん)

13(平成25)年10月16日、都知事からの派遣要請に基づく第1師団長からの派遣命令を受け、即座に現場へ進出しました。

我々は人命救助活動を主たる任務とし、不眠不休で土砂・瓦礫・流木と奮闘しました。隊員達は被災された方々やそのご家族を思い、一刻も早く生存者を見つけ出そうと努めました。また、本災害派遣では、統合任務部隊が組織され、陸・海・空自衛隊の隊員がそれぞれの任務を遂行していましたが、活動する場所や業務の内容は異なっていても、被災者の方々への想いは皆同じでした。

活動間、空港周辺や街中で小学生が手作りのパネルを掲げて我々を応援してくれました。その姿は隊員の大きな力となり、地域・国民あっての自衛隊であることを改めて認識しました。

災害派遣部隊を応援する小学生の画像

手作りのパネルで災害派遣部隊を応援する小学生(伊豆大島)

海自第1輸送隊(広島県 呉市)
第1エアクッション艇隊 クラフトマスター(当時)(現 第1輸送隊) 1等海尉
吉田 輝邦(よしだ てるくに)

この災害派遣において、私たちに与えられた任務は横須賀で輸送艦「おおすみ」に搭載した陸自、警察などの重機や車両を大島に揚陸することでした。大島の海岸と沖に待機する輸送艦との間を、エアクッション艇LCAC(Landing Craft Air Cushion)で昼夜を問わずピストン輸送し、多くの車両を揚陸しました。

第1回目の輸送は、「生存率が急激に低下するといわれる72時間の壁」という制限の中、27時間連続でオペレーションを実施するという過去にない経験となりました。

長時間にわたる任務であり、従事した隊員の疲労は相当なものであったはずですが、災害派遣という任務に従事している使命感から、また「全ては被災者のために」を合言葉に、任務が終了するまでは不思議とそれほどの疲労は感じませんでした。

LCACの画像

伊豆大島に上陸するLCAC

空自入間基地(埼玉県 狭山市)
第2輸送航空隊 第402飛行隊 2等空曹
北村 航希(きたむら かずき)

13(平成25)年10月、伊豆大島は台風第26号の影響により大規模な土石流などの被害を受け、陸・海・空の自衛隊は行方不明者の捜索活動や物資の提供などの災害派遣活動を実施しました。私も第402飛行隊の空中輸送員としてC-1輸送機による物資および人員輸送などの災害派遣任務に就きました。

災害派遣時の空中輸送員の具体的な任務は、航空機による捜索活動に必要な資材、車両および人員の輸送、被災地で使用する生活必需品の輸送機への搭載および卸下(しゃか)などです。また、病院で入院されているお年寄りの方々を輸送機により本土へ避難させる活動も実施しました。

今回の災害派遣に際し、我々第2輸送航空隊は、第1、第3輸送航空隊とともに、昼夜を問わず飛行し任務を完遂しました。今回のような災害が二度と起きないことを心より願うとともに、万が一、同種の任務が付与された際には、全力で対応できる万全の態勢を保持するため、日々訓練に精進していく所存です。

機内作業の画像

C-1輸送機の機内で作業する筆者